
故人が亡くなった際、遺産分割と合わせて「お墓をどうすれば良いのか」「誰が引き継ぐのか」という「お墓の相続」について考える方が多くいらっしゃいます。
一般的な財産の相続とは異なるお墓の特殊性や、それに伴う費用、税金、そして手続きの全体像は、多くの方にとって分かりにくい点です。
本記事では、「お墓の相続」という言葉で皆さんが知りたいと考えるであろう、お墓の引き継ぎに関する重要なポイントを分かりやすく解説します。
お墓は相続財産になるのか、かかる費用や税金、そしてトラブルを未然に防ぐための注意点など、安心して「お墓の相続」を進めるための情報を提供いたします。
「お墓の相続」という言葉は一般的に使われますが、法律上、お墓は一般的な財産とは異なる特別な扱いを受けます。
お墓(墳墓)、仏壇、位牌などは、民法上「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれます。 この祭祀財産は、土地や建物、預貯金などの「相続財産」とは性質が異なります。 そのため、祭祀財産はお墓を承継しても相続税の対象とはならず、贈与税も原則かかりません。
遺産分割協議の対象にもなりませんので、「長男がお墓を継ぐのだから、その分、遺産を多くほしい」といった要求には応じる必要がないとされています。祭祀財産は、基本的に金銭的な価値を考慮せず、家系や信仰を継承するためのものと考えられているためです。
祭祀財産を承継し、管理する人を「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」と呼びます。 この祭祀承継者は、故人の意思や家族の慣習などによって決定されます。
→ 祭祀承継者の詳細な決定方法については、「お墓の承継とは?知っておくべき基本と法律」をご参照ください。
お墓の承継自体に税金はかからないものの、お墓を維持・管理していく上で様々な費用が発生します。
お墓を承継した後には、主に以下の費用が発生します。
お墓そのものには相続税も贈与税も原則かかりません。なぜなら、お墓は一般的な財産と異なり、「祭祀財産(さいしざいさん)」という特別なものとして扱われるためです。
但し、「故人の遺産からお墓の購入費用を支払った場合、その購入費用が相続財産から差し引かれる(控除される)」ことにはなりません。お墓の購入費用は、祭祀承継者が負担すべきものとされ、葬儀費用と違い控除対象にならないためです。
あくまで、祭祀財産であるお墓そのもの自体が、相続税の計算対象にならないということになります。
・国税庁HP(相続税がかからない財産):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4108.htm
「お墓の相続」手続きは、一般的な財産の相続手続きとは別に進める必要があります。
→ 祭祀承継者の詳細な決定方法については、「お墓の承継とは?知っておくべき基本と法律」をご参照ください。]
「お墓の相続」では、感情的な問題や知識不足から様々なトラブルが発生することがあります。
これらのトラブルを回避するためには、生前の準備と家族間での十分な話し合いが何よりも重要です。故人の意思を明確にする遺言書の作成や、承継を前提としない永代供養墓などの選択肢も検討に入れましょう。
→ 個別のトラブル事例とその解決策については、「お墓の承継トラブルQ&A|事例と解決策」をご参照ください。
「お墓の相続」は、故人から受け継ぐ大切な財産(祭祀財産)ですが、一般的な相続とは異なる独特のルールがあります。税金はかからないものの、承継後の維持費用や手続き、そして家族間の合意形成は避けて通れない課題です。
本記事が、「お墓の相続」というテーマに対する皆さんの疑問を解消し、不安なくお墓の引き継ぎを進めるための一助となれば幸いです。
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