・戒名はつけない。又はいらない。と言うお話をお聞きする事があります。戒名とは、故人が仏弟子になった証、あの世での新しい名前等の意味がありますが、現在では戒名は付けない(不要)と考えられる方もおります。
もし戒名を付けないで葬儀からお墓の埋葬まで行いたいとお考えの場合、1つ注意することがあります。それは、お墓が寺院墓地にあり、その寺院に埋葬する場合です。
一般的には、埋葬先が寺院墓地の場合、その寺院に葬儀供養及び戒名を付けて頂き、その寺院に埋葬する流れになります。
通常「戒名はいりません。」と寺院の住職にお話をされると反対され、場合によっては埋葬を拒否される場合があります。過去の判例等を参考すると葬儀供養、埋葬(納骨)等は、その寺院の典礼(儀式・儀礼)に従う必要があり、その典礼に従わない場合は、葬儀供養、埋葬等を拒否できると考えられます。(津地判 昭38.6.21)
しかし、逆に典礼に従わない埋葬でも拒否できないと判断された場合もあります。(宇都宮地判 平24.2.15)こちらの判例等は、諸事情を考慮した上での判断になりますが、つまり状況により拒否できる場合とできない場合があることになります。(最終的な判断は裁判所になります。)
一般の方は、寺院と争ってまで埋葬したいと思われる方は少ないと思いますので、寺院墓地の場合は、寺院に連絡し葬儀供養と戒名を付けて頂いた方が無難と言えます。どうしても付けたくない場合は、寺院墓地を墓じまいし別の霊園等に改葬することも考えられます。いずれにしましても墓地管理者と良く話合って決められた方が良いかと思います。
ここまでは、故人を埋葬する墓が寺院墓地の場合になります。
ご家族・親族間で話合い、戒名は不要ということでしたら、俗名で葬儀・埋葬を行うことが可能です。実際に俗名で行われている方も多々おります。(念の為、供養をお願いする住職、埋葬する霊園等も確認しておいた方が安心です。)
過去の判例等を見て行くと、戒名を付けないで寺院に葬儀供養をお願いした場合、寺院側は拒否できる。寺院の典礼に従わない場合は、埋葬を拒否できる場合とできない場合が有る。(諸事情による。)
昭和の判例では、拒否できるとされているケースが目につきますが、平成の判例では諸事情を考慮した上で拒否できないとされているケースが目につきます。近年一般の方の宗教的な関心が薄くなっているとともに戒名料と言われるお布施の金額についても問題になっている場合があります。
この様な状況により裁判所の判断も変化してきているのではないでしょうか?今後も現代の状況に併せて更に変わる可能性もあるかと思います。
»» 次の記事:檀家以外の墓地承継(埋葬)は可能ですか? »»
«« 前の記事:相続発生!お墓の費用は誰が負担するのか? ««
■ お問合せは こちらから ■
~ 大塚法務行政書士事務所 ~
東京都 葛飾区 新宿6-4-15-708
営業時間AM9:00~PM6:00
(土日祝日対応可)