
大切なご家族との突然の別れに際し、どのような形式で葬儀を行うかは重要な決断となります。近年、少人数で故人を見送る「家族葬」が広く選ばれるようになりました。
家族葬は、近親者やごく親しい友人のみで執り行うことで、故人との最後の時間を静かに、ゆっくりと過ごしたいというご遺族の意向に応える形式です。
この記事では、家族葬の基本的な定義や特徴、メリット・デメリット、密葬との違い、具体的な葬儀の流れ、注意点について解説します。これから家族葬を検討されている方のために、ぜひご参考にしてください。
家族葬は、近親者やごく親しい友人のみで執り行う葬儀形式です。参列者を限定することで、故人との最後の時間をゆっくりと過ごすことができます。一般的には、参列者が10〜20名程度の規模で、遺族の意向に沿って柔軟に葬儀の内容を決められるのが特徴です。
家族やごく親しい方のみで行うため、形式や世間体にとらわれず、故人やご遺族の意向に沿った葬儀にしやすいのが大きなメリットです。例えば、故人の趣味に合わせた飾りつけをしたり、通夜を省略して告別式のみの「一日葬」にしたりするなど、柔軟な対応が可能です。
一般葬のように多くの弔問客への対応に追われることがないため、ご遺族は故人との思い出を語り合い、静かに最期のお別れをすることができます。
参列者が少ない分、返礼品や飲食接待費を抑えることができ、全体的な葬儀費用を安く抑える傾向にあります。ただし、必ずしも安価になるとは限らないため、事前の確認が重要です。
参列者が少ないため、香典収入が少なくなる傾向にあります。これにより、葬儀費用を香典でまかなうことが難しくなり、ご遺族の負担が増える可能性があります。
葬儀に参列できなかった方が後日、弔問に訪れることがあります。特に故人が人徳のある方だった場合、対応に追われてしまい、ご遺族の負担が増える可能性があります。
家族葬という形式が一般的になってきたとはいえ、親族の中には「盛大な葬儀をしたい」と考える方もいるかもしれません。事前に十分に話し合っておかないと、後々トラブルに発展する可能性があります。
家族葬と密葬は、いずれも少人数で行う葬儀ですが、目的と規模に違いがあります。
家族葬は、家族や親しい友人のみで執り行う「葬儀の形式」です。家族葬のみで葬儀が完結し、参列者を限定した上で、ゆっくりと故人とのお別れをすることを主な目的とします。
密葬は、主に社会的地位の高い方が亡くなった際などに、本葬や社葬を後日行うことを前提として、身内だけで火葬までを済ませる儀式です。年末年始など、日程が合わない場合にも密葬が行われることがあります。
家族葬を行う場合には、下記の様な流れで進めていくことになります。
葬儀社を選ぶ際は、家族葬の実績や、ご遺族の意向を尊重してくれる誠実な対応かを確認することが重要です。複数の葬儀社から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較検討しましょう
ご遺族、親族、そして僧侶や火葬場の都合を考慮して、日程と場所を決定します。葬儀社の施設、またはご自宅で行うのが一般的です。
家族葬では、シンプルな祭壇を選ぶ方が多いですが、故人の趣味や好みに合わせて飾りつけを行うことも可能です。
通夜・告別式を行うかどうかも自由に決めることができます。通夜を省略し、告別式のみを行う「一日葬」も選択肢の一つです。
告別式後、火葬場にて火葬を行い、ご遺骨を自宅に持ち帰ります。納骨は四十九日以降に行うのが一般的です。
→ 納骨の時期や手順の詳細は【納骨の基礎知識】時期・場所・手順 を解説をご覧ください。
家族葬の費用は、一般葬よりも抑えられる傾向にありますが、葬儀社によって金額は大きく異なります。
これらの金額はあくまで目安です。高額な費用を請求されるトラブルを避けるためにも、必ず複数社から見積もりを取り、内訳を詳細に確認することが大切です。
近年人気の家族葬ですが、注意することがあります。ここでは、その注意点について解説させて頂きます。
故人のお墓が寺院墓地にある場合、葬儀や戒名について、菩提寺のご住職と事前に相談する必要があります。戒名を付けない、または他の寺院で戒名を授かると、お墓への埋葬を拒否される可能性があるため、早めに連絡をしておきましょう。
国民生活センターには、家族葬に関する料金トラブルの相談が多数寄せられています。
このようなトラブルを防ぐためにも、ご自身の希望を明確に伝え、見積書を必ず確認し、不明な点はその場で質問することが重要です。
もし、葬儀費用についてトラブルになった場合は、早めに「国民生活センター」にご相談して下さい。
・国民生活センター(独立行政法人)⇒ https://www.kokusen.go.jp/index.html
家族葬にする場合、周囲の方への報告は いつすればよいのでしょう?
葬儀後、「なんで知らせてくれなかったの」と葬儀後の弔問に追われる事を防ぐためにも、ご近所・職場関係・自治会などには、《故人の遺志により葬儀は、親族だけで執り行います。まことに勝手ながらご参列及びご焼香、ご香典、ご供花は固く辞退させていただきます。》
という内容の回覧をまわしてもらったり、職場への連絡を入れることをおすすめします。
家族葬にしましたが、周囲への報告が葬儀後になってしまいました。どんな文面で周囲へお知らせを出せばよいのでしょうか。
葬儀後、お知らせが 行き届かなかった方が 出てくる事は多々あります。故人の連絡網、頂いている年賀状、友人関係を調べ、お知らせの手紙、はがきを郵送しましょう。
その際の文面の一例は・・
拝啓 皆様には、益々 ご清祥のことと お喜び申し上げます。
(父氏 名儀) 〇年 〇月〇日 〇時〇分 (病名)のため 〇〇歳で急逝いたしました。
尚、勝手ながら故人の意思により、去る〇月〇日 密葬儀にて滞りなく相済ませました。ご通知が遅れたことを深くお詫び申し上げます。また生前賜りました数々のご厚情を感謝いたします。
〇年 〇月 〇日
喪 主 (名 前)
敬 具
※それでも、お知らせ漏れがあった場合、喪中ハガキなどで お知らせするのもよいでしょう。
友人の母親が亡くなりました。面識はありません。葬儀に行こうと思い、友人に日程と場所を聞きましたが、「家族葬にする。」と言われ教えてもらえませんでした。
何もしなくていいのだろうか?と悩んでいます。どうしたらよいのでしょうか。
家族葬は、家族と親族、ごく親しい故人の友人といった内輪だけで、慌ただしくなく、ゆっくりと 故人とお別れし葬送を執り行いたいという家族の意図のもと執り行われます。
「家族葬にするから」と言われた場合、葬儀等々には参列の必要はありません。
どうしても気が収まらない場合、後日、ご友人も日常生活を取り戻し、落ち着いた頃に、「お線香をあげさせて。」とお参りの意向を伝える事をおすすめします。また、基本的にお香典も遠慮されると思いますので、故人の ご仏前に備えられるお花、お線香などをご用意するのも良いと思います。
〔周囲の理解を得られない場合がある〕、〔香典収入が少額で、葬祭費用が持ち出しになってしまう〕、〔葬儀後の弔問が多くなり葬儀後は、とても慌ただしい〕などと言ったデメリットも多々ありますが、選択する方が増えてきている家族葬。
家族とごく親しい方と内輪で静かに見送りたい、職場を退職してから年月が流れ関係者に知らせても参列者が少ないと思う、費用があまりかけられない。などと言った方には、やはり家族葬をおすすめします。
(必ずしも安価であるとは言えません。一日葬にして一般参列の方からお香典を頂いた方が、持ち出しは、なくなるとも考えられます。)
まずは、故人と家族の意向を明らかにし、親族ときちんと話し合った上、葬儀社に見積もりを依頼しましょう。その際に、わからない事はきちんと聞きましょう。そして、一緒に寄り添ってくれる葬儀社を選択されることを何よりも願っております。
近年、家族葬で高額な費用を請求されるケースが増加しております。必ず見積書を取得して明細を確認して下さい。又、数社から見積書を取得して費用の相場も把握しましょう。
依頼する場合は、その葬儀社等の口コミなどの情報も参考にして下さい。
万が一高額な費用を請求された場合は、請求書の内容確認し納得出来ない場合は、支払いを行う前に国民生活センター・消費生活センター等にご相談してみて下さい。
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