自然災害と お墓の問題について解説いたします。|大塚法務行政書士事務所(東京都)
お墓が災害にあったら何をすれば良いか?修復責任は、どこに?お墓の保険は?など「知っておきたい お墓と災害の基礎知識」について解説。|相談無料。土日祝日対応可。|大塚法務行政書士事務所(東京都 葛飾区)
行政書士 大塚博幸
行政書士 大塚博幸

自然災害とお墓

海を眺める親子・近年、自然災害が各地で頻発しています。いつおこるか?どこでおきるか?被害の大きさも予想のつかない自然災害。

 

今も 各地の被災地では、様々な復旧に追われています。そして、そうした被災地で、新たな災害復旧の問題が起きているようです。それは、≪ 墓地災害 ≫です。

 

各家庭の事情により異なりますが、「ご先祖様が、倒れたままでは、ゆっくり眠っては、いられない上、しのびない」と生活再建の 次に 重視されているのが お墓のようです。

 

ここでは、お墓が自然災害あったら どうしたら良いのか?お話をさせて頂きます。

 

1.お墓が自然災害にあったら まず何をすればいいの?

お墓の被害状況を知りましょう。また、保険を掛けてある場合は、証書などで 補償の確認をしましょう。

非難する家族
お墓が倒壊した時の費用は、新規に お墓を購入した時と同額か、それ以上の費用が掛かる場合があります。まずは、災害状況を確認に行きましょう。

 

ここで、一番注意をして頂きたいのが、災害直後の二次災害です。災害直後の足元はもちろん、大地震の後であれば余震、又は、余震による 新たな上から左右からの落下物。豪雨・台風直後の土砂崩れ等。

 

周囲に気を配り、墓石にヒビなどを見つけて写真撮影しても、決して触らないようにしましょう。むやみに触って、ご自身が、怪我をする事に ならないよう細心の注意をしてください。

 

被害状況を把握したら、早速 お墓を購入した石材店に連絡をし、被害状況を知らせ、修繕方法の見積もりを貰いましょう。

 

※実際に災害が起きた時に慌てないように、保険の証書、霊園、寺院、石材店の連絡先を、事前に確認しておく方が良いかと思います。

2.修復責任は、どこに?

お墓
自然災害によってお墓が損傷した場合、損害賠償に関連する法的責任については、民法709条と717条が関連すると思われますので、条文も記載し併せて解説いたします。

民法709条 「故意または過失により他人に損害を与えた者は、その損害を賠償する責任を負う。

この条文によれば、故意または過失がなければ損害賠償責任は発生しないとされています。通常の予測できる災害においては、管理者が合理的な注意や対策を怠り、それが他者に損害をもたらした場合、法律に基づいて責任を問われる可能性があります。

民法717条:土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があり、これによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

上記は、土地の工作物に瑕疵があり、それによって他人に損害が生じた場合の賠償責任を規定しています。ここでの瑕疵とは、通常の安全性を欠いている欠点や不備を指します。管理者が適切な注意を払わなかった場合に賠償責任が生じる可能性もあります。

 

但し、自然災害の場合、管理者が注意や努力を払っても回避することが難しい(不可能)不可抗力として責任が免責される可能性が高くなります。不可抗力が認められた場合には、お墓の 修復責任は、所有者にあり墓石に損失が生じた際は、負担を負うことになります。

 

基本的には、墓地の管理者は、マンションの管理者と所有者の状況と似ており「お墓を建てる場所を提供し、環境を管理」することになります。

3.お墓の防災

・お墓を購入する時に しっかり土地を熟慮し選ぶ。

国交省が作成している【 ハザードマップ 】を利用しましょう。お墓の場所が、安全かどうか?を調べられます。地層や地盤の状況も把握しておくことをお勧めします。

・お墓の耐震・免震工事をする。

既にある お墓には費用が掛かりますが、お墓の保険に加入する際に、耐震チェックが必要になります。

4.お墓の保険

近年の大規模な地震や水害の影響をうけ、「お墓の保険」が普及し始めました。

スーツの女性と男性
購入に際し、墓石に対して付いてくる保証やアフターケアだけでは、足りない部分を補ってくれる お墓のための保険。

 

契約後に後悔しないためにも 補償内容をしっかり検討し、色々な保険を見比べることをおすすめします。

(1)保険の補償対象

地震・津波・火山の噴火・洪水などの水害・土砂崩れなど自然災害で、お墓が損壊、もしくは倒壊した場合。

 

また隣のお墓が倒壊し、自分の家のお墓が被害を受けた場合も対象になります。

(2)補償対象にならないもの

石材以外の花立や砂利、装飾品など 墓石以外の装飾品は対象外になります。天災補償のみの保険に入っている場合、いたずらや故意の損傷や倒壊も対象外になることがあります。

・お墓の保険に入るメリット ⇒ お墓の再建費用を捻出しカバーできる。

(3)保険料と補償金額

既にお墓を所有している場合:平均月額1,500円前後。最大保証金額は50万円が相場。
新規購入の場合:平均月額3,000円前後。補償金額は購入した時の代金分が主流。

 

※石材店と提携している保険会社も多いようです。資料と詳しい内容を相談・説明してもらいましょう。

5.墓地管理者が出来る事

住職
基本的には、墓石は、墓地使用者に所有権があるので、修復義務と責任は墓地管理者には無いと考えられます。

 

しかしながら、倒れた墓石が 参拝路等の共用部分に掛かっている等の場合、墓地管理者として参拝者に危険のないように保全措置を行いましょう。具体的には、 危険な墓石の撤去や危険を知らせる立て看板の設置などになります。

6.まとめ

パソコンを打つ行政書士
近年、 大地震 、 集中豪雨など、予測出来ない災害が続いております。

 

先祖代々の墓地なども、災害により消失するケースもあります。今後は、災害を想定した お墓、災害に遭いづらい お墓等、今一度、 お墓と災害を考慮した上で、墓作りを考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

 

追記

 

令和6年能登半島地震の被災者の方へ

 

この度の災害に対し、心よりお見舞い申し上げます。皆様の一日も早いご再建をお祈りいたします。

この度、大変な状況の中、被災地の方からお問合せを頂きまして有難うございました。震災後、この頁をご覧になる方が多くなっておりましたので、少しでもお役に立てるよう一部加筆させて頂きました。

 

お墓の損傷等につきまして、今回の様な大規模な地震では、管理者の不可抗力とされる可能性が高く、自己負担となる可能性が高いかと思われます。但し、墓地によっては、倒壊した墓を管理者側で据え置き(所有者負担なし)した例もあります。墓石の欠損等は有料で行われた様です。

 

まだ、災害発生から、あまり日にちも経っていない為、お墓のことは後回しなるかと思いますが、墓地・霊園の管理者と今後、どの様に修復していくのか?負担はどの様になるのか?等、落ち着かれた状態で、一度確認された方が良いかと思います。

 

公営墓地の方も同様に自治体にお問合せして頂ければと思います。

 

※お墓に関する直接の助成金・補助金は、現在確認されておりません。※当事務所調べ(令和6年1月17日 厚生労働省に確認)。今後、もしその様な事が有る場合は、厚生労働省のホームページ等に掲載するとの事でした。

 

県や市区町村で独自の支援等を行う場合もありますので、お住いの県・市区町村のホームページ等で確認されるか、又は、直接お問合せ頂ければと思います。

 

 

※当事務所でもお墓に関するご相談等を受付けておりますので、ご不明点等ありましたら、どうかご遠慮なくお問合せ下さい。お問い合わせは、TEL03-3607-2357になります。

 

最後になりますが、一日も早い復興と皆様のご健康を心からお祈り申し上げます。 

 

 

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