【お墓に入れる人】入れないケースと対処法|大塚法務行政書士事務所(東京都)

【お墓に入れる人】入れないケースと対処法|大塚法務行政書士事務所(東京都)

「誰が・どこまでお墓に入れるの?」お墓の承継者や親族関係、離婚・再婚など、多様なケースでのお墓に入れる人・入れない人の判断基準と対処法を行政書士がQ&A形式で解説。お墓の人数制限やトラブル回避のポイントまで、具体的な疑問にお答えします。
行政書士 大塚博幸
行政書士 大塚博幸

ペットと墓参り

  • 「お墓に入れる人・入れない人には、どのような基準があるのだろう?」
  • 「兄弟間の墓の問題はどう解決すれば?」「嫁ぎ先のお墓に入りたくない場合は?」
  • 「離婚したら実家のお墓に入れるの?」「お墓に入れる人数に制限はある?」

これらのお墓に関する疑問は、多くの方が抱える悩みでありながら、なかなか人には相談しにくいものです。


このページでは、そうした皆様の具体的な疑問に対し、お墓専門の行政書士がQ&A形式で分かりやすく解説していきます。


法律や慣習、そして円満な解決のための対処法まで、知っておくべき情報を網羅しました。ぜひ、ご自身の状況に合わせた解決のヒントを見つけてください。


Q1.兄が承継した お墓に入りたい。

電話する高齢女性

質問

私は三人兄妹の末っ子です。これから先、結婚の予定もありません。
お墓は兄が承継しています。両親が入っているお墓に私も入れてもらいたいのですが、お墓に入れる人の決まりは何かあるのでしょうか。


 
回答

説明する女性
お墓に入れる人については、法律で明確な制限が設けられているわけではありません。しかし、現実的には以下の点が重要となります。


墓地の使用規則(管理規約)

多くの霊園や寺院墓地では、お墓に入れる人を「永代使用権者(お墓の使用者)の親族に限る」といった使用規則を設けています。この「親族」の範囲は、民法上の「六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族」を指すことが多く、これには甥や姪なども含まれます。ご自身のお墓の使用規則を確認することが最も重要です。

墓地使用規則の詳細は【墓地使用規則】後悔しない管理規約の読み方・注意点をご覧ください。


永代使用権者の承諾

現在お墓を承継しているお兄様(永代使用権者)の承諾が不可欠です。たとえ親族であっても、永代使用権者の同意がなければ納骨はできません。


管理者(霊園・寺院)の承諾

霊園や寺院などの管理者も、最終的な納骨の判断を行います。永代使用権者と管理者の両方の承諾が得られれば、ご両親と同じお墓に入ることができます。


お墓が次の世代に承継され使用者が変わると、その新しい使用者の親族の範囲で入れる人が変わってくることになります。ご自身の希望を早めに兄に伝え、承諾を得ておくことをおすすめします。

Q2.嫁ぎ先のお墓に入りたくない、実家のお墓に入りたい。

電話する高齢女性

質問

姑や夫と同じお墓に入りたくありません。
一応、遺言書には、実家のお墓に入りたいと記しました。これで、嫁ぎ先のお墓に入らずに済むでしょうか。


 
回答

説明する女性
残念ながら、遺言書に記しただけでは、必ずしもご自身の希望が叶うとは限りません。以下の点に注意が必要です。


遺言書の効力と納骨のタイミング

一般的に遺言書は、故人の死後、四十九日を過ぎてから開封されることが多いです。しかし、納骨は多くの場合、四十九日以内に行われます。この時間差のため、ご自身の希望が遺族に伝わる前に、ご遺骨が嫁ぎ先のお墓に納められてしまう可能性があります。


遺骨の帰属と遺言の効力

お墓や遺骨などの「祭祀財産(さいしざいさん)」は、一般的な相続財産とは異なり、民法の「祭祀に関する権利の承継」という規定によって承継されます。遺言書で祭祀承継者を指定することはできますが、具体的な遺骨の埋葬場所まで法的な強制力を持つわけではありません。もしご遺骨の埋葬を巡って裁判になった場合でも、最終的に嫁ぎ先のお墓に留まるケースが多いのが現状です。

お墓の相続に関する詳細は【お墓の相続】ガイドをご覧ください。

お墓の承継に関する詳細は【お墓の承継】基本と法律をご覧ください。


実家のお墓の永代使用権者・管理者の同意

ご自身の希望を実現するためには、実家のお墓の永代使用権者(ご両親や兄弟など)と、そのお墓を管理する霊園や寺院の同意が必須です。


・確実に希望を叶えるための対処法・
最も確実な方法は、生前にご自身の希望を関係者全員に明確に伝え、合意を得ておくことです。

  • ご主人や義実家と話し合う :感情的にならず、なぜ実家のお墓に入りたいのか、具体的な理由を伝え、理解を求めましょう。
  • 実家のご両親や承継者と合意する: 実家のお墓に入れるかどうか、具体的な空きスペースや使用規則を確認し、承諾を得ておきましょう。
  • ンディングノートや覚書に残す:遺言書とは別に、エンディングノートなどにも希望を詳しく記し、保管場所と併せて信頼できる人に伝えておきましょう。
  • 永代供養や樹木葬を検討する:最終的に家族の合意が得られない場合や、嫁ぎ先のお墓への納骨を避けたい場合は、ご自身の遺骨を永代供養墓や樹木葬にするなど、第三者管理のお墓を検討することも選択肢の一つです。

お墓は不要か?いらない場合の選択肢の詳細は【お墓は不要か】必要か?いらない場合の選択肢をご覧ください。

Q3.友達と一緒のお墓に入れますか?

電話する高齢女性

質問

仲の良い お友達と一緒の お墓に入る事は、できるのでしょうか?


 
回答

説明する女性
お友達同士で同じお墓に入ることは、条件によっては可能です。大きく分けて、以下の2つのケースが考えられます。


既存のお墓に入る場合

あなたが既に永代使用権者となっているお墓に友人を納骨したい場合、まずその霊園や寺院の使用規則(管理規約)を確認してください。多くの場合、「埋葬者は、永代使用権者の親族に限る」と限定されています。


もし規則で親族以外の方の埋葬が認められる場合は、管理事務所にその旨を伝え埋葬に問題ないか確認しておきましょう。規則で親族以外を認めない場合は難しいこともありますが、まずは管理者へ相談してみましょう。

墓地使用規則の詳細は【墓地使用規則】後悔しない管理規約の読み方・注意点をご覧ください。


これから新しいお墓を設ける場合(永代供養墓・樹木葬など)

一般のお墓(墓石を建てるタイプ)では、永代使用権は原則として共有できないため、どちらか一方が使用者となり、もう一方はその使用者の親族として入る形になります。この場合もQ1と同様に親族の範囲の問題が生じます。


そこで、友人同士で一緒に入るお墓として特におすすめなのが、永代供養墓や樹木葬です。これらの新しい供養形態では、血縁関係にとらわれず、友人同士や夫婦別姓の夫婦など、多様な関係性の人々が一緒に入れる「共同墓」「合葬墓」や、「二人用」「個別の区画」を提供するタイプが増えています。


永代供養墓や樹木葬は、承継者がいなくても霊園や寺院が管理・供養してくれるため、将来的な管理の心配がない点も大きなメリットです。

→ 永代供養墓の詳細は【永代供養墓】基礎知識・選び方をご覧ください。

樹木葬の詳細は【樹木葬】基礎知識・選び方をご覧ください。

いずれのケースでも、最も重要なのは、生前にご友人やご家族と十分に話し合い、全員の合意を得ておくことです。 承継者の問題が生じる場合は、誰がそのお墓を最終的に管理するのか、あるいは永代供養を選択するのかなどを具体的に決めて、遺言書やエンディングノートに記しておくことをおすすめします。

→ お墓の承継に関する詳細は【お墓の承継】基本と法律 をご覧ください。

Q4.離婚をしたが、実家の お墓に入れますか?

電話する高齢女性

質問

離婚をしました。
姓は子供たちのことを考えて、旧姓に戻さず、嫁いだ名前のままです。私は、実家のお墓に入れてもらえるのでしょうか。


 
回答

説明する女性
はい、離婚後も実家のお墓に入ることは可能です。 姓が変わっていない場合でも問題ありません。


お墓に入れるかどうかは、主に以下の点が影響します。

実家のお墓の永代使用権者の同意

現在、実家のお墓を管理している永代使用権者(ご両親や兄弟など)の同意が最も重要です。ご自身の意思を明確に伝え、了承を得ておきましょう。


墓地の使用規則(管理規約)

霊園や寺院墓地によっては、お墓に入れる人の範囲を「永代使用権者の親族」と定めている場合があります。元配偶者との婚姻関係が解消されても、血縁関係は変わりませんから、実家のお墓の「親族」の定義に合致するケースがほとんどです。念のため、霊園や寺院の管理事務所に確認しましょう。

墓地使用規則の詳細は【墓地使用規則】後悔しない管理規約の読み方・注意点をご覧ください。


承継者の同意(永代使用権者が兄弟の場合)

もし永代使用権者がご両親ではなく、ご兄弟が承継されている場合は、その兄弟の同意が必要です。


・円滑に進めるためのポイント・

  • 生前の意思表示: 実家のお墓に入りたいという希望は、元気なうちに必ずご両親やご兄弟に伝えておきましょう。口頭だけでなく、エンディングノートなどに記しておくことも有効です。
  • 関係者との話し合い:将来的なトラブルを避けるためにも、現在の夫や元夫の親族にも、ご自身の希望を伝える必要があるか検討しましょう。特に、お子様がいる場合は、お子様が混乱しないよう配慮が必要です。

夫婦のお墓問題の詳細は【夫婦のお墓問題】離婚・再婚時の手続きと解決策をご覧ください。

夫と同じ墓に入りたくない場合の詳細は【夫と同じ墓】入りたくない場合の解決策をご覧ください。

Q5.夫は、私の実家のお墓に入れますか?

電話する高齢女性

質問

一人娘である私は、実家のお墓を承継しています。
もし夫が亡くなった時に、夫は私の実家のお墓に入れますか?


 
回答

説明する女性
はい、ご主人は、あなたの実家のお墓に入ることができます。


永代使用権者の同意

あなたが実家のお墓の永代使用権者(承継者)であるため、ご主人の納骨はあなたの意思で決めることができます。ただし、霊園や寺院の使用規則(管理規約)で「配偶者」の納骨が認められていることが前提となりますが、配偶者は親族の範囲に含まれるため、ほとんどのケースで問題なく納骨が可能です。


管理者(霊園・寺院)の同意

最終的には、お墓を管理する霊園や寺院の同意も必要です。


ご主人の親族との話し合い

ご主人が長男である場合など、ご主人のご実家にもお墓がある場合は、そのご親族との話し合いをきちんと行うことを強くおすすめします。思わぬトラブルを避けるためにも、生前にご主人のご家族の意向も確認し、合意形成を図っておきましょう。

→ お墓の承継トラブルの詳細は【お墓の承継トラブル】Q&A・事例と対策 をご覧ください。


・円滑に進めるためのポイント・

  • 生前の夫婦間の合意:ご夫婦で、どちらの家のお墓に入るか、あるいは新しい供養方法を選ぶかなど、生前に十分に話し合い、お互いの希望を共有しておくことが大切です。
  • エンディングノートの活用:ご自身の希望をご主人やご家族が明確に把握できるよう、エンディングノートなどに記しておくのも有効です。

Q6.お墓に入れる人数は?

電話する高齢女性

質問

お墓には何人まで埋葬できますか?


 
回答

説明する女性
法律上、一つの墓地(区画)に埋葬できる人数に明確な制限や規定はありません。


しかし、現実的にはお墓の納骨室(カロート)の物理的なスペースによって、納骨できる骨壺の数は決まってきます。一般的なカロートは、数個から10個程度の骨壺を収蔵できるよう設計されています。


もし納骨室が骨壺でいっぱいになった場合は、以下の対処法が検討されます。


骨壺から骨袋への移し替え

古いご遺骨の骨壺から中身を取り出し、よりコンパクトな骨袋に移し替えることで、納骨室内のスペースを確保します。これは比較的一般的な方法です。


合祀(ごうし)

古いご遺骨を霊園や寺院の合祀墓(共同墓)に移して供養し、納骨室のスペースを空ける方法です。一度合祀されるとご遺骨を取り出すことはできません。


粉骨(ふんこつ)

ご遺骨を粉状にすることで、より多くのご遺骨を小さなスペースに納めることが可能になります。ただし、粉骨は専門業者に依頼するのが一般的です。


墓じまい

現在のお墓を撤去し、ご遺骨を全て別の場所(永代供養墓や納骨堂、散骨など)に移す「墓じまい」を検討するケースもあります。これにより、お墓の管理負担も解消されます。

お墓じまいの詳細は【お墓じまい】相談・手続代行 をご覧ください。

ご自身の状況に応じて、最適な方法を検討し、必要であれば霊園や寺院、または専門家である行政書士に相談することをおすすめします。


ま と め

行政書士 大塚博幸
お墓に入れる人・入れない人の問題は、ご家族の状況や個々の関係性、そして墓地の使用規則によって多岐にわたります。最も大切なことは、生前にご自身の希望を明確にし、関係するご家族や親族と十分に話し合い、合意形成を図っておくことです。


生前の意思表示の重要性

「誰に、どうしてほしいか」を具体的に伝え、遺言書やエンディングノートを活用しましょう。特に、法的な効力は限定的であっても、エンディングノートは家族への大切なメッセージとなります。


祭祀承継者の指定

ご自身の希望を確実に叶えてくれる「祭祀承継者」を明確に指定しておくことも有効です。

お墓の承継に関する詳細は【お墓の承継】基本と法律 をご覧ください。


専門家への相談

説明する行政書士
複雑なケースや、親族間の意見の調整が難しい場合は、お墓の専門家である行政書士にご相談ください。法的な知識と実務経験に基づき、それぞれの状況に応じた最適な解決策をご提案し、手続きをサポートいたします。


大塚法務行政書士事務所は、平成21年度(2009年)の開業以来、数多くの墓じまいや改葬手続き、遺言作成サポート、相続のご相談・手続き代行など、お墓に関する多岐にわたる業務を手掛けてまいりました。経験・実績ともに豊富な事務所ですので、安心してご相談いただけます。


「このような場合、どうなるのか?」「こうしたい時はどうすれば良いか?」など、お墓に関するご不明な点やご不安なことがございましたら、まずは下記の無料相談窓口よりお気軽にお問い合わせください。お客様一人ひとりに寄り添い、最適な解決策を見つけるお手伝いをいたします。


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