
夫(妻)と同じお墓に入りたくない、離婚・再婚した場合のお墓はどうなるのか、内縁の妻とお墓の問題、実家のお墓を継ぐ必要はあるのか…。夫婦関係の変化に伴うお墓の問題は、非常にデリケートで複雑な悩みを伴います。
このページでは、夫婦間のお墓に関する様々な疑問や具体的なトラブル事例に対し、それぞれのケースにおける手続きと解決策を詳しく解説します。お墓専門の行政書士が、皆様の疑問を解消し、後悔しないための終活のヒントをご案内します。
夫婦関係の変化に伴い、お墓のあり方について悩む方は少なくありません。ここでは、基本的な疑問や様々なケースを見ていきましょう。
夫婦は、法律上「一緒のお墓に入らなければいけない。」ということはありません。墓地埋葬法など、お墓に関する法律でもそのような定めはありませんので、ご自身の意思で入るお墓を決めることができます。
従って、ご自身の「個人墓」を建てる方法や「共同墓」を利用するという方法があります。その他、実家のお墓に入るという選択肢もあります。この場合、墓地管理者や親族の承諾が必要となる場合があるため、後々トラブルとならないようにしておくことが大切です。
夫の実家のお墓に入りたくない場合は、ご夫婦で、新たに永代供養墓や納骨堂、樹木葬、散骨などの供養先を購入する方法も考えられます。
→ 夫と同じ墓に入りたくない場合の具体的な解決策については、【夫と同じ墓】入りたくない場合の解決策 で詳しく解説しています。
「内縁の妻は、夫のお墓に入れるでしょうか?」という問題は、祭祀承継者の意向と墓地の規約が重要になります。
まず、お墓の承継者(祭祀承継者)が誰になるか、という問題があります。先に内縁の妻が亡くなり、夫が祭祀承継者になる場合は、夫側の親族が認めるか、という問題がありますが、基本的には、祭祀承継者の許可があれば問題ないと思われます。(※ただし、寺院・霊園等の規約により、内縁関係者の埋葬が認められない場合もありますので、事前確認が必要です。)
しかし、どちらが先に亡くなるか分かりませんので、夫がその旨の「遺言書」を作成し、「公正証書」にしておく方法などがあります(この場合、祭祀承継者を内縁の妻に指定しておくことも可能です。)。仮に、夫が先に亡くなり、「遺言書」が無い場合は、夫と同じお墓に入ることは、祭祀承継者やその親族の理解が得られない限り難しいと考えられます。
※婚姻関係ではないが事実上の夫婦である場合、同一の永代供養墓に埋葬してもらう、または区画を購入する永代供養墓等で隣同士の区画を購入するなどの方法も考えられます。(通常の霊園等の場合、6親等以内の血族、3親等以内の姻族等の規約があることが多いため、内縁関係の場合に埋葬が可能か、事前に霊園や寺院に確認が必要です。)
→ 祭祀承継者の詳細な決定方法については、【お墓の承継】基本と法律 をご参照ください。
ご夫婦で宗教が違う場合、同じお墓に入ることを希望するなら、「公営墓地」や「宗教不問の民営墓地」を利用する方法があります。
墓石には、宗教的文字を刻まないようにし、墓碑銘などは、ご家族でよく話し合われた上で、墓誌にて戒名やクリスチャンネームを刻み、宗教の特色を出すことが多いようです。
既に「寺院墓地」がある場合は、新たに「公営墓地」や「宗教不問の民営墓地」を購入した方が、後々のトラブルを防ぐことになるかと思います。
その他、ご夫婦のどちらかがクリスチャンの場合では、「教会の墓地」等に信者の方々と埋葬する方法・納骨堂を利用する方法などもあります。この場合、ご夫婦で別々になってしまいますので、それが寂しいという場合は、やはり宗教不問の霊園等を選択される方が良いでしょう。
→ 墓地の種類や選び方については、【墓地の種類】公営・民営・寺院墓地の違いを解説 や【墓地の選び方】公営・民営・寺院墓地のメリット・デメリットをご参照ください。
結婚や離婚、再婚といった人生の転機は、お墓の承継や供養のあり方にも影響を与えます。
結婚して姓が変わったが、実家のお墓はどのようにすれば良いか?という問題があります。姓が変わってもお墓の承継は基本的に可能です。(ただし、寺院等により使用規則が定められている場合がありますので確認が必要です。)
祭祀承継者は、遺言があれば遺言書で、特に指定がない場合、慣習により決まるとされています。その他、家族の申立てにより家庭裁判所の指定により決定する場合もあります。仮に、祭祀承継者になられた場合、他の親族等に祭祀承継者を譲る方法などがありますが、この場合は、事情を良く説明し理解を得ておくことが大切です。
→ 承継したくない場合の解決策は、【お墓の承継トラブル】Q&A・事例と対策 で詳しく解説しています。
その他、費用面など2つの墓を維持するのが厳しい場合、両家墓にする方法などもあります。両家墓では、両家の名前を刻むことも可能であり、お墓参りに行きやすい場所に、1つにまとめることも良いかと思います。
実際に、お墓を承継した場合は、使用許可書の書き換え等が必要になります。この場合、「使用許可書」、「戸籍」、「埋葬許可書」、他の兄弟がいる場合は「同意書」など様々な書類が必要になります。霊園や自治体により違いがありますので、よく確認して手続きをする必要があります。
夫が、お墓を承継されている場合、夫が亡くなられて妻が承継することも可能ですが、先祖代々のお墓を承継するのに不安がある場合や再婚等の予定がある場合は、どのようにすれば良いでしょうか?
この場合、亡くなった夫に兄弟がいる場合は、事情を良く説明し、理解を得た上で祭祀承継者を譲る方法があります。また、状況によりお子さんに祭祀承継を譲る方法もあります。
再婚を考えている場合は、現実の段階になった時に、祭祀承継者を譲る方が良いかと思います。仮に、再婚がダメになった場合、実家のお墓に入れず、亡くなった夫のお墓にも入れなくなる可能性がありますので、慎重に進めることが大切です。
お墓に入らない方法としては、「夫婦で新しいお墓を建てる。」、「実家のお墓に了承を得て入る。」、「散骨・合同葬」など、様々な方法があります。いずれにせよ、遺言書などを作成し、希望を明確にしておくことと、お子さん等に良く話しておき、理解を得ておくことが大切です。
離婚、再婚を繰り返したが、現在は一人の場合、お墓は、子供がいるか?いないか?を含めて考えてみましょう。
子供がいる場合は、子供も、いずれお墓に入ると考え、新たに、お墓を建てるのも選択肢の一つになります。子供には、迷惑かけたくないという、お気持ちがある場合は、永代供養墓や合同葬、散骨などの方法があります。
どのようにしたいか?は、「遺言書」等に残しておくことと、生前に、お子さんに話しをしておくことが大切です。その他、実家のお墓に入る方法もありますが、実家のお墓の「祭祀承継者の了解」を得る必要があります。
子供がいない場合は、「合同葬」、「散骨」、「永代供養墓」、「実家のお墓に入る」など、上記同様の方法が考えられます。葬儀、お墓の埋葬等、誰に行ってもらうのか?なども事前に、親族等の身内の方等に良く話しておき理解を得ておくことが大切です。
「再婚したが、先妻の居るお墓には一緒に入りたくない場合」、どのような方法が考えられるでしょうか?1つは、新たにお墓をつくる方法です。この場合は、ご夫婦で、新たにお墓を作るのか、あるいは、個人墓を建てるのか、という選択肢もあります。
その他、「分骨」する方法や、お墓を改葬し既にある遺骨は「永代供養」する方法もありますが、この場合、先妻のお子さん等に配慮し、よく話し合いを行う必要があります。(お墓は、1つになりますが、納骨する場所(カロート)を仕切る方法などもあります。)
1人っ子同士で結婚された場合、お墓問題として、維持管理費等の費用、お墓参等の負担が重くなる場合があります。
この場合、お参りに行き易い場所を選択し、※「両家墓」にする方法があります。「両家墓」にすることで、お参りも同時に行う事ができるとともに、費用面を抑えることができます。
墓石には、両家の名前を彫ることが一般的ですが、将来的なことを考え「○○家の墓」という文字は刻まず、好きな言葉を刻む場合もあります。また、お墓を建てる費用を抑える為に、どちらかのお墓を使用する方法もあります。
「両家墓」にする場合は、どちらか、あるいは、両方のお墓の引越し(改葬)手続きが必要になります。事前に、霊園等に「両家墓」が可能かどうか?を確認することも大切です。特に、寺院墓地の場合は、使用規則等をよく確認しておきましょう。
両家のお墓を1つにまとめることにより、「お参り」や「費用の負担」を軽減することが可能です。
墓石には、①両家の名前を彫る。 ②○○家とは入れずに、好きな言葉を刻む。③夫の姓を刻み、妻の姓は、墓誌に刻む。等の方法があります。
「両家墓」にする場合は、お墓の引越し(改葬)手続きや寺院墓地等への確認など様々な手続きが必要になりますが、将来的な負担を考えた場合に「両家墓」にするメリットは充分にあるかと思います。
→ 複数の墓を一つにまとめる合葬については、【お墓の合葬】複数の墓を1箇所にまとめる手順と費用 で詳しく解説しています。
夫婦間のお墓の問題は、日常的に考えることではないかもしれませんが、いざという時にどうすれば良いのか、誰に聞けば良いのかなど、わからないことが沢山あるかと思います。
本記事で解説した様々なケースと解決策を参考に、ご自身の状況に合わせた最適な方法を見つけてください。大切なのは、感情的な対立を避け、ご夫婦やご家族間で十分に話し合い、納得のいく形で合意を形成することです。
お墓の問題でお困りの際は、お気軽に当事務所までご相談ください。お墓の手続きを専門とする行政書士が、皆様の疑問点にお答えし、円満な解決をサポートいたします。
大塚法務行政書士事務所 行政書士 大塚博幸
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