
「分骨」を お考えなら最初に ご覧下さい。
・「両親の遺骨を本家の墓から分骨したい。」、「お墓が遠いので 近くのお墓に分骨したい。」、「兄弟間が疎遠になり、両親の遺骨を分骨したい。」など、分骨を希望される理由は様々です。
しかし、分骨を行うには、どのような手続きが必要で、何から始めれば良いか、分からない方が多いかと思います。
この「分骨マニュアル」は、分骨を検討する方が、その方法や流れ、必要な手続き、注意点、費用などを理解し、スムーズに進めるための手引きとなる記事です。分骨の理由や種類、手続きの全体像、必要書類、費用について、分かりやすく解説します。
分骨とは、故人の遺骨を二つ以上に分けて、それぞれ別の場所に納めることを言います。全てのお骨を一つの場所に納めるのではなく、複数に分けて供養したい場合に分骨が行われます。
分骨が行われる理由は、ご家庭や個人の事情によって様々です。主な理由としては、以下のようなケースが挙げられます。
・① お墓が遠方にあるため:本家のお墓が遠方にあり、お参りが難しい場合など、自宅近くのお墓に分骨して手元供養したい。
・② 親戚間でお墓を分けたい:親戚や兄弟間の関係性、それぞれの考え方の違いから、遺骨を分けてそれぞれの管理するお墓に納めたい。
・③ 複数の場所に納骨したい:一部の遺骨を本家のお墓に残しつつ、別の一部を永代供養墓に移したり、手元に置いて供養したい。
・永代供養墓に関する詳細は、永代供養墓の基礎知識と選び方|種類・費用・注意点という記事で、手元供養に関する詳細については、手元供養の注意点と知っておくべき事について解説という記事で詳しく解説しています。
・④ 散骨や樹木葬を行うが一部は残したい:散骨や樹木葬を行う際に、全てを自然に還すのではなく、遺骨の一部を手元に残しておきたい。
・散骨に関する詳細については、散骨の知っておきたい基礎知識について解説いたします。という記事で詳しく解説しています。
・⑤ 新しい供養の形:手元供養やアクセサリー加工など、遺骨を身近に置いて供養したい。
こうした様々な理由から分骨を選択される方が増えています。ご自身の状況に合わせて分骨を検討する際は、まず遺骨の所有権について確認することが重要です。
分骨を行う上で最も重要なのは、遺骨の所有権者が誰であるかを確認し、その所有権者及び関係者(ご兄弟など)の了解を得ることです。お墓や遺骨の所有権は、原則として「祭祀承継者」にあります。祭祀承継者以外の方が、所有権者の許可なく勝手に分骨をすることは法的に認められていません。
・祭祀承継者については、お墓の承継に関する基礎知識について解説いたします。という記事で詳しく解説しています。
トラブル防止のため、所有権者や関係者から分骨の了解を得られた際には、分骨の承諾書(同意書)を作成し、関係者全員の署名・捺印を得ておくことを強くお勧めします。
ご自身が祭祀承継者(所有権者)である場合も、ご兄弟など他の祭祀権者の同意を得ておくことで、後々の無用なトラブルを防ぐことができます。同意書や合意書の作成は、後々の言った言わないの争いを避けるために非常に有効です。
分骨の手続きは、遺骨が「お墓に埋葬されている場合」と「火葬されたばかりの場合」で流れが異なります。それぞれのケースについて、詳細な手順を解説します。
既に墓地等に埋葬されている遺骨を分骨する際、原則として役所からの改葬許可証は不要です。分骨元の管理者から「分骨証明書」を発行してもらう手続きが中心となります。
・遺骨の取り出しや分骨用の骨壺に関する具体的な情報については、「分骨の知っておきたい基礎知識について解説いたします。」で詳しく解説しています。
現在遺骨が埋葬されている墓地(寺院、霊園など)の管理者に、分骨を行いたい旨を相談し、了解を得ます。同時に、分骨証明書を発行してもらえるか、またその手続き(必要な書類や手数料など)について確認します。管理者が証明書を発行できない場合は、ご自身で作成する分骨証明書に署名・捺印を依頼することになります。
寺院墓地の場合、稀に分骨を断られるケースもありますが、法的には分骨を拒否することはできません。無用なトラブルを避けるため、丁寧に説明し理解を得ることが大切です。分骨に際して、お寺にお礼としてお布施を包むことが一般的です。
分骨は、改葬(お墓の引越し)とは異なり、原則として離檀の必要はありません。改葬に関する詳細は、「改葬(お墓の引越し)マニュアル」をご覧ください。
分骨した遺骨をどこに納めるか(新しいお墓、永代供養墓、納骨堂、手元供養など)を決め、その場所を確保します。新しい霊園等に納骨する場合は契約を行います。また分骨した遺骨を納骨する際に必要な手続、提出する書類も確認しておきましょう。
親族のお墓に納骨する場合は、そのお墓の所有者・墓地管理者の了承を得たうえで手続を行う必要があります。
手続き全体に必要な書類を準備します。主なものは後述の「3. 分骨手続きに必要な書類」のセクションで解説します。特に分骨証明書は、分骨先で提出が必要となる重要な書類です。
分骨証明書等の準備、分骨先の確保が完了したら、現在のお墓の管理者や遺骨の取り出しを依頼する石材店と日程調整を行い、分骨を行う日を決定します。分骨に立ち会う親族がいる場合は、その方々とも日程を調整します。
・石材店の選び方については、「石材店の選び方と注意点について解説いたします。」で詳しく解説しています。
当日、現在のお墓の管理者にご挨拶をし、依頼した石材店に墓石を開けてもらい、骨壺を取り出してもらいます。分骨用の骨壺(事前に用意し持参)に遺骨を移します。分骨が終わったら、残りの遺骨を元の骨壺に戻し、お墓を元の状態に戻す作業を石材店に依頼します。分骨した遺骨は、新しい分骨先へ運びます。
遺骨の取り出し作業(お墓の開閉、遺骨の移し替え)は、通常、石材店に依頼します。費用については事前に確認しておきましょう。
分骨先に移動し、分骨した遺骨を納めます。この際に、分骨証明書を分骨先の管理者に提出し、必要な手続きを行います。納骨式や供養を行う場合は、事前にご住職などと調整しておきます。納骨の形式(ご住職を呼ぶか、家族のみで行うかなど)は、分骨先の規則やご家族のお考えによって選択できます。
・納骨に関する詳細については、「納骨の基礎知識と手順」で詳しく解説しています。
納骨にかかる費用(石材店への納骨作業費、管理者への手数料など)は、事前に確認しておきましょう。
火葬時に遺骨を分骨する場合、手続きは比較的シンプルです。火葬場で分骨証明書を発行してもらうことが中心となります。
火葬の前に、分骨を希望する旨を火葬場の管理者に伝えます。分骨用の骨壺(事前に用意し持参)を持ち込むことも伝えておきましょう。
火葬後、収骨の際に係員に分骨希望であることを改めて伝えます。分骨する分の遺骨を、用意した分骨用の骨壺に収めてもらいます。この際、火葬場の管理者から「分骨証明書」が発行されます。
自治体によっては証明書の名称が違う場合などがありますが、その場合、分骨証明書である旨を併せて明記してもらう必要があります。
分骨証明書を持参し、分骨先の墓地等で納骨を行います。納骨に関する手続きは、埋葬されている遺骨を分骨した場合と同様です。
・納骨に関する詳細については、「納骨の基礎知識と手順」の記事でも詳しく解説しています。
火葬時の分骨は、遺骨がまだ一か所に集まっている段階で行うため、埋葬後の分骨に比べて手続きの手間が少なくなります。
分骨手続きに必要な書類は、遺骨が埋葬されている場合と火葬時の場合、また分骨元や分骨先の規定によって異なります。事前に必ず関係各所に確認が必要です。ここでは一般的な書類について解説します。
現在遺骨が埋葬されている墓地の管理者が発行する書類で、分骨した遺骨がそこにあった故人の遺骨であることを証明します。分骨先の墓地等に提出します。
寺院・霊園等に規定の様式がない場合は、ご自身で作成し署名・捺印を依頼します。様式に特定の定めはありませんが、死亡者の氏名、生年月日、死亡年月日、火葬・埋葬場所、分骨元の墓地管理者名と証明印などの記載が一般的です。
・分骨証明書に関するより詳細な情報は、「分骨の知っておきたい基礎知識について解説いたします。」で確認できます。
墓地(遺骨)の所有権や親族等から分骨の同意を得たことを証明する書類です。トラブル防止のために作成しておくと安心です。
火葬場の管理者から発行される書類で、火葬時に分骨した遺骨であることを証明します。分骨先の墓地等に提出します。
その他、分骨元や分骨先の規定により、墓地使用許可証、住民票、戸籍謄本などの提出を求められる場合もあります。事前に必ず分骨元と分骨先の双方の管理者に必要書類を確認してください。
分骨にかかる費用は、分骨の方法(埋葬されている遺骨か、火葬時か)、分骨先、依頼する業者などによって大きく異なります。主な費用項目を以下に挙げます。
分骨した遺骨をどこに納めるかによって費用は大きく変動します。
新たに墓地を取得し墓石を建てる場合、100万円以上かかることが一般的です。
・新しいお墓の費用に関する詳細は、「お墓の契約(購入)の時期・費用・墓地見学のポイントなど解説いたします。」で詳しく解説しています。
合祀墓や集合墓、単独墓など形式により、数万円から数十万円程度が相場です。
・永代供養墓に関する詳細は、「永代供養墓の基礎知識と選び方|種類・費用・注意点」で詳しく解説しています。
ロッカー式、自動搬送式など形式により、数十万円から百万円程度が相場です。
・納骨堂に関する詳細は、「納骨堂とは?選び方から注意点について解説いたします。」で詳しく解説しています。
埋葬方法や場所により、数万円から数十万円程度が相場です。
・樹木葬に関する詳細は、「樹木葬の基礎知識と選び方を分かりやすく解説」で詳しく解説しています。
自宅での安置、アクセサリー加工など、数千円から数十万円程度まで様々です。
・手元供養に関する詳細については、「手元供養の注意点と知っておくべき事について解説」で詳しく解説しています。
業者に依頼する場合、数万円から。粉骨費用なども別途かかる場合があります。
・散骨に関する詳細については、「散骨の知っておきたい基礎知識について解説いたします。」で詳しく解説しています。
現在お墓に埋葬されている遺骨を分骨する場合、墓石を開閉し遺骨を取り出す作業が必要です。
お墓の開閉作業、遺骨の取り出し、分骨用の骨壺への移し替え、お墓を元の状態に戻す作業などを石材店に依頼する費用です。一般的に2万円~5万円程度が相場ですが、墓石の大きさや構造、現地状況によって異なります。事前に見積もりを取りましょう。
指定石材店がある場合は、そこに依頼します。
・石材店の選び方に関する詳細については、「石材店の選び方と注意点について解説いたします。」で詳しく解説しています。
分骨元の墓地管理者が分骨証明書を発行する際に、手数料が必要となる場合があります。数百円から数千円程度であることが多いです。
分骨した遺骨を納めるための骨壺や骨袋の費用です。分骨先の規定に合ったものを用意します。小さな骨壺であれば数千円程度から購入できます。
分骨を行う際や新しい分骨先に納骨する際に、読経や儀式を依頼した場合にかかる費用です。
分骨元のお寺への御礼、分骨先の納骨供養など。お気持ちですが、一般的に数万円程度を包むことが多いようです。お車代なども必要に応じて。
各宗教・宗派によって呼び方や金額の考え方が異なります。
供養を行うかどうかは、ご家族のお考えや分骨先の規定によって選択できます。
分骨をスムーズに行い、後々のトラブルを防ぐために、いくつかの注意点があります。
最も重要なのは、遺骨の所有権者やご兄弟などの親族と、分骨の理由、分骨先、手続きの進め方について十分に話し合い、同意を得ることです。同意を得られたことは、書面(承諾書・同意書)で残しておくとより安心ですし、後々の言った言わないの争いを避けるためにも有効です。
分骨手続きの可否、必要書類、手続きの流れ、費用など、分骨元と分骨先の双方の管理者に事前にしっかりと確認することが必須です。
分骨証明書は、分骨先の納骨時に必ず必要となる重要な書類です。分骨元の墓地管理者から確実に発行してもらう必要があります。管理者に様式がない場合の対応なども含め、事前に確認しておきましょう。
火葬時に分骨するか、埋葬後に分骨するかによって流れが異なります。また、埋葬後の場合、遺骨の取り出しについて石材店と十分に打ち合わせましょう。
新しい分骨先が、骨壺のまま納骨できるか、骨袋に移す必要があるか、分骨証明書以外の必要書類は何かなど、納骨に関する規定を事前に確認しておく必要があります。
石材店への費用、供養料、管理費など、発生しうる費用について事前に確認し見積もりを取得しましょう。
分骨は、故人の供養に対する多様なニーズに応える方法の一つですが、遺骨の所有権や親族の同意、行政手続き、新しい納骨先の準備など、いくつかのステップを踏む必要があります。分骨を後悔なく、スムーズに進めるためには、事前の情報収集と計画、そして最も重要である関係者との十分な話し合いと同意が鍵となります。
このマニュアル記事が、分骨を検討される方にとって、手続きの全体像を理解し、必要な準備を進めるための一助となれば幸いです。
ご自身での手続きに不安がある場合や、関係者との調整が難しい場合など、複雑な事情がある場合は、お墓の手続き専門家(行政書士など)に相談することも有効な手段です。専門家のサポートを得ることで、手続きの負担を軽減し、安心して分骨を進めることができます。
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