・将来、ご自身が亡くなった際に、夫と同じお墓に入りたくない!と思う方もいるかと思います。この様な場合、どうすれば良いか?どの様な方法があるのか?考えて行きたいと思います。
・夫と同じお墓入らない方法としては、下記の3つが考えられます。
一般的な霊園等では埋葬可能な親等数が決められている場合がありますが、通常6親等以内の血族、3親等以内の姻族等になっており、上記の方法は特に問題にならないと考えられます。
但し埋葬出来る人が限定されている霊園等もありますので、念の為、墓地管理者に確認しておいた方が安心です。その他、夫婦が別々の墓に入る為に、特別な行政上等の手続はありません。ここでは、夫と同じお墓の入りたくないとお考えの方に、上記3つの方法について解説して行きたいと思います。参考にご覧ください。
(1)墓地を購入し夫を埋葬、ご自身は別の場所に埋葬される。
・通常の埋葬方法と差はありません。夫が先に亡くなった場合、墓地を購入し埋葬する。その後、ご自身が亡くなった時は、他の墓地に埋葬となります。ここで考えることは、夫をどの様なお墓に埋葬するのか?ということになります。
通常、妻・子が埋葬先の決める事になるかと思いますが、勝手に永代供養墓等に埋葬してしまうと、夫の親族とトラブルになることも考えられます。お墓を決めた際には一言、説明してから埋葬された方が良いかと思います。又、ご自身はどこの墓地に埋葬されたいのか?埋葬は誰が行うのか?こちらも考えておく必要があります。
(2)夫の実家など、既にある お墓に埋葬してもらう。
・実家のお墓に埋葬する場合、その墓地所有者の許可が必要になります(墓地管理者の了解も得ておきましょう)。 いきなり夫の実家に埋葬したいと伝えた場合、夫の両親・兄弟等が驚かれるこことでしょう。なぜそうしたいのか?よく話合い了承を得る事が大切です。
亡くなった夫や親族とも仲が悪く、今後付き合いたくないと、お考えの場合は、「姻族関係終了届」という方法もあります。こちらは、役所に「姻族関係終了届」を提出することにより、夫の親族との関係が無くなり扶養義務もない事になります。直接、お墓との関係は有りませんが、この様な届出を行い、夫の親族との関係を終了させた上で、夫を実家の墓に埋葬してもらう方法も考えられます。
・夫が墓地に埋葬されているが、一緒に埋葬されたくないので、別の墓地を購入し、そこに埋葬してもらうということになります。
事前に、希望の墓地と契約を結んでおき、亡くなった後に埋葬してもらう形式です。家族がいない方には、万が一の場合は事前契約した墓地に埋葬してくれるNPO法人などもあります。又、死後事務委任契約を信頼できる方と結んでおき、葬儀や墓地の埋葬をお願いする事も可能です。
子供や親族等に、お願いしたい場合は、事前に良く説明し話をしておき、エンディングノートや遺言書等に希望の葬儀や埋葬を記載しておく方法もあります。特に遺言書で「祭祀承継者」を指定しておいた方が、墓地の埋葬などもスムーズに進むことになります。
・通常の埋葬と同様でその他特別な手続は必要ありません。実家の墓地への埋葬を希望される場合は、墓地所有者の了承を得ておきましょう。又、万が一の時には、誰にどの様に埋葬してもらうのか?こちらも考えておく必要があります。
遺言書の祭祀承継者の指定や死後事務委任契約なども考えられますが、家族が埋葬を行う場合、理解を得ておかないと希望と違う場所に埋葬されてしまう可能性もありますので、よく話し合っておく必要があるかと思います。
夫の実家、ご自身の実家に埋葬可能な場合は、墓地が確保されていますが埋葬が出来ない場合は、他の墓地を契約する必要があります。どの様な墓地と契約すれば良いか考えておく必要があります。
この場合、ご自身は永代供養墓に埋葬又は、散骨も考えられます。
お墓は子供が承継して行くので、後は、ご自身の埋葬先を決めておけば良いことになります。この場合、新たにもう一つのお墓を建てるのは費用も掛かり、子供も2つのお墓を維持していくのは大変です。永代供養墓ならその後の維持管理費が掛からず承継も不要となり、子供への負担も軽くなります。その他、散骨を行うことも考えられます。
こちらは、夫側の親族から苦情がでる可能性があります。
一家の墓地から夫だけ追い出していると思われる方もいるかと。現在、お墓にこだわない方もおりますが、ご高齢の方等は、一般的なお墓に埋葬されることを望む方もおります。この様な場合は、夫側の親族の理解を得てから行われた方が良いかと思います。
家族等がいない場合、永代供養墓・散骨等が考えられます。
お墓の承継者がいない場合、選択範囲が限られてきます。永代供養墓、納骨堂、樹木葬等は承継者がいなくても埋葬可能です。一般的なお墓は承継者がいることが前提となりますので、それぞれのお墓を建立することは難しいと思います。但し一般的なお墓の形式の永代供養墓もありますので、そちらを選択する事も可能です。
どの様なお墓を選択されても、ご自身で埋葬を行うことは出来ません。埋葬を行う方の理解を得られないと希望の墓地に埋葬されない可能性もあります。上記にも述べました様に、ご家族がいる場合は、①生前に伝え理解を得ておく。②生前に話したくない場合は、遺言書、エンディングノート等で希望が伝わる等にのこしておく。
家族がいない場合は、親族・友人・知人等に頼んでおく、NPO法人等と契約しておく、死後事務委任契約・信託等を行っておくなど、希望の埋葬が実行される様に準備しておく必要があります。こちらは、一種の終活とも言えます。ですので、他のことと一緒にお墓の希望も残しておきましょう。
基本的には、墓地使用権者(所有権者)の了解を得ること、寺院・霊園等の了解を得ることが必要になります。その他、ご自身が亡くなった後に希望通りの葬儀や埋葬をしてもらう方法も決めておき、その準備をしておくことが必要です。
寺院墓地に埋葬する場合、葬儀等は、基本的にその寺院で行う必要がありますので、事前に確認をしておいた方が良いかと思います。
夫の両親等と話し合いも出来ない。又は、したくない場合は、まずは「姻族関係終了届」及び「復氏届(戸籍が別記載になります。)」等の書類を提出し、関係を整理した上で、次に、ご自身が「死後事務委任契約」や「遺言書の祭祀承継者の指定」等にて準備をしておく方法もあります。
ちなみに、相続財産(金銭的なもの)と祭祀財産は別のものになりますので、一般的な相続財産とは、切り離して考える必要があります。
その他、既に埋葬されている夫の遺骨を別の場所に永代供養してもらい、ご自身が今ある墓地に入る方法も有りますが、既に埋葬されている遺骨を別の場所に埋葬する場合には、改葬許可と墓地使用権者(所有権者)の了解が必要になります。(ご親族の了解等が必要な場合は、同意書など作成した方が、後々のトラブルを回避することに繋がります。)
・補 足
世の中、人により色々な状況があります。亡くなった後まで一緒に居たくないと思う方もいるかと思います。上記にて述べて決ました様に、希望の墓地に埋葬される為には、それなりの準備が必要になります。その準備は、いつすれば良いか?それはご自身が元気なうちに行う方が良いかと思います。
体調が悪くなった場合、埋葬先の資料と取り寄せ、現地見学、契約等を行う事も大変になります。思う様に進められないこともあるかもしれません。それならば、時間的に余裕がある今の内に、出来る事は進めておいた方が良いのではないでしょうか?
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