
都心に隣接し、再開発が進むベイエリアの「新しい街」(豊洲、有明)と、深川や門前仲町といった歴史ある「古い下町」が共存する江東区。この街では、次のように「新旧それぞれの住民層」で異なるお墓の悩みが生まれています。
この記事では、江東区にお住まいの方や、区内の霊園に墓所を持つ方が、墓じまいや改葬(お墓の引越し)をスムーズに進められるよう、お墓の専門行政書士である大塚法務行政書士事務所が、江東区ならではの事情に合わせた進め方を丁寧に解説します。
「墓じまい」とは、現在あるお墓を閉じ、遺骨を取り出して新しい供養先へ移すことを指します。江東区で墓じまいが増えている主な理由は以下の通りです。
・承継者不足:下町の寺院墓地では代々続いてきたお墓を維持できない世帯が増加しています。
→ お墓の承継問題は お墓の承継トラブルQ&A・事例と対策 をご覧ください。
・生活スタイルの変化:豊洲・有明エリアに住む若い世代は、遠方の実家墓の維持を続けにくいという悩みがあります。
→ 遠方のお墓の墓じまいは 遠方のお墓の墓じまい手続きの流れと注意点 をご参照ください。
・利便性を重視する傾向:「アクセスが良い永代供養墓」や「屋内型納骨堂」へ移す選択肢が増えています。
墓じまいは、次のステップで進めるのが基本です。
まずはご家族・親族と墓じまいについて話し合います。墓じまいは手続き以上に「心の整理」でもあるため、後々のトラブルを避けるために親族等の同意を得ておきましょう。
永代供養墓・納骨堂・樹木葬など、どこに遺骨を移すのかを決定します。
→ 改葬先を選ぶ際は【改葬先】選び方と失敗しない注意点 の記事を参考にしてください。
改葬には「改葬許可証」が必要です。これがないと改葬先で納骨することはできません。
→ 改葬許可申請書の書き方は【改葬許可申請書】取得・記入方法と必要書類 をご参照ください。
寺院の僧侶に読経を依頼し、魂を抜いた後に石材業者が墓石を撤去します。
→ 石材店の選び方は 墓じまい時の石材店の選び方と費用 も参考にしてください。
改葬先に「改葬許可証」を提出し、納骨して完了です。
江東区の改葬許可手続きは、区民課 戸籍係が窓口となります。
江東区の場合、墓地管理者の埋葬証明は申請書の記載欄にありますので、こちらに署名押印を頂く場合は、別途、埋葬証明書を取得する必要はありません。なお、豊洲特別出張所では改葬許可申請書を受付しておりませんのでご注意ください。
江東区役所へバスでお越しの際は、最寄りのバス停「江東区役所前」をご利用いただくのが便利です。
このバス停には、以下の主要なバス路線が乗り入れています。
これらの路線を利用することで、JR総武線や東京メトロ東西線沿いの各駅からもスムーズにアクセスできます。バス停からは徒歩1分ほどで区役所に到着します。
墓じまいにかかる費用は以下のように分かれます。
1㎡あたり10万〜20万円が目安です。江東区の寺院墓地は敷地が狭く、作業車が入りにくい場所もあるため、追加費用が発生するケースがあります。
閉眼供養は3万〜5万円程度のお布施が相場といえます。また寺院によっては離檀料を求められる場合があります。
・永代供養墓:5万〜200万円
シンボル的な記念碑等もとに埋葬する形式の方が安価といえます。5万円~50万円程度。墓石を建立するタイプの永代供養墓は100万円~200万円程度。
・納骨堂:20万〜200万円
都心部の機械式納骨堂は、80万円~200万円程度。
・樹木葬:10万〜80万円
合葬形式の方が費用が安く、区画で購入するタイプは、合葬形式よりも費用が高くなります。
→ 費用相場について詳しくは【墓じまい費用】安く抑える方法と相場 や【改葬費用】お墓の引越しにかかる費用と相場 もご覧ください。
江東区では、住民のライフスタイルや地域性に応じて、選ばれる供養先にも特徴があります。豊洲・有明といった新しい街では利便性や管理のしやすさが重視され、深川や門前仲町などの歴史ある街では寺院とのつながりや安心感が求められる傾向があります。さらに区外の都立霊園も、多くの区民に利用されています。
→ 新しい供養先の選び方については【改葬先】選び方と失敗しない注意点 も参考にしてください。
再開発が進む豊洲・有明エリアでは、利便性と現代的な設備を備えた供養先が人気です。
代表的なのは屋内型納骨堂で、ICカードを使った自動搬送式の施設が増えています。参拝時にはカードをかざすと厨子が自動で搬送され、冷暖房完備の空間で快適にお参りができます。管理はすべて施設側に任せられるため、承継者がいない家庭や共働き世帯にも選ばれています。
また、都市型の樹木葬も注目されています。都市の中で緑に囲まれた環境に遺骨を納めるもので、自然志向の若い世代に支持されています。永代供養が付いているケースが多く、維持費の心配が不要な点もメリットです。
歴史ある下町エリアの深川や門前仲町では、地域に根付いた寺院墓地の需要が根強く残っています。
特に、寺院が運営する永代供養墓は信頼性が高く、定期的な法要が行われるため「安心して供養を任せられる」との声が多くあります。代々続く檀家としてのつながりを重視する家庭にも選ばれやすい供養方法です。
さらに、境内で行う樹木葬も増えています。寺院境内の樹木の下に遺骨を納めるスタイルで、自然に還りたいという希望を持ちながらも、宗教的な儀式や供養をしっかりと行いたい人に向いています。
江東区内には都立霊園はありませんが、近隣区にある霊園へのアクセスが良いため、多くの区民に利用されています。
→ 都立霊園の申込は【都立霊園】申込方法・要件・墓地の種類を解説 をご覧ください。
・谷中霊園: 日暮里駅から徒歩圏内で、桜並木が美しいことでも知られています。都心にありながら落ち着いた雰囲気で、多くの人に選ばれています。
→ 谷中霊園の詳細は【谷中霊園】墓じまい・改葬手続き代行 をご参照ください。
・青山霊園: 港区にあり、都内屈指の歴史ある霊園です。著名人のお墓も多く、格式の高さと管理体制の良さで人気があります。
→ 青山霊園の詳細は【青山霊園】墓じまい・改葬手続き代行 をご参照ください。
・八柱霊園: 八柱霊園は千葉県松戸市にあり、広大な敷地を持つ都立霊園です。JR武蔵野線「新八柱駅」が最寄りとなり、そこからバスを利用することでスムーズに霊園へ行くことができます。広大な敷地のため車でのアクセスも便利ですが、お盆やお彼岸の時期は混雑に注意が必要です。
→ 八柱霊園の詳細は【八柱霊園】墓じまい・改葬手続き代行 をご参照ください。
江東区全体で見ると、利便性を重視する新しい街では納骨堂や都市型樹木葬が、地域とのつながりを大切にする古い街では寺院型永代供養墓や境内型樹木葬が選ばれる傾向があります。いずれも共通して「管理のしやすさ」「将来的な安心感」が重視されており、従来の家族墓から永代供養型の供養先へと移行するケースが年々増えています。
A1: はい、郵送可能です。ただし記入漏れ・印鑑不備に注意してください。
A2: 現時点で江東区独自の補助制度はありません。
A3: 永代供養は費用を抑えやすい、納骨堂はアクセスや利便性が高いという違いがあります。
A4: 新しいお墓への埋葬の他、永代供養、樹木葬、散骨、手元供養など多様な選択肢があります。
→ 墓じまい後の遺骨については、墓じまい後の遺骨の処理・処分方法 をご参照ください。
A5: 形式的には祭祀承継者(主催者)の判断で進められますが、親族間のトラブル防止のため合意形成は必須です。特に地方のお墓を江東区内へ改葬する場合、「勝手に遺骨を動かされた」との感情的な対立が起きることもあります。事前に説明と相談を行うことが重要です。
A6: 平均的には1〜2か月程度です。墓地管理者の埋葬証明書、改葬先の使用許可証・受入れ証明書の取得などに時間がかかる場合あります。寺院墓地の場合、お盆・お彼岸・年末年始などの繁忙期や寺院側の都合でさらに時間を要するケースもあります。
江東区は「新しい街」と「古い街」が共存する地域であり、墓じまいの悩みも多様です。
役所での改葬許可申請、費用の相場、豊洲や深川での供養先選びなど、一つひとつ丁寧に準備することが大切です。
大塚法務行政書士事務所では、江東区を含む都内全域で数多くの墓じまいサポート実績があります。
「何から始めればいいのか分からない」という段階からご相談可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
【 メディア掲載・著書・講演実績 】
・大塚法務行政書士事務所は、お墓に関する専門家として、これまで様々なメディアで取材を受け、記事掲載や講演を行ってまいりました。詳しくは、こちらからご覧ください。
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