
文京区は、湯島天神や護国寺など数多くの寺社仏閣が点在する「文の京(ふみのみやこ)」として知られる、歴史と文化の街です。都心に位置しながら閑静な住宅街が広がるこの地域でも、近年、お墓に関する悩みを抱える方が増えています。
この記事は、文京区にお住まいの方や、区内の寺院に墓所をお持ちの方が、墓じまいや改葬(お墓の引越し)をスムーズに進められるよう、お墓の専門家である行政書士が作成した完全ガイドです。
文京区ならではの事情や注意点を踏まえて、具体的な解決策を詳しく解説します。
文京区には約135もの寺院があり、「寺町」としても知られています。そのため、墓じまいの問題も、お寺との関係性や、伝統的な供養方法からの転換を巡るものが多くなっています。
寺院との関係性: 代々お寺の檀家として続いてきた家庭が多い文京区では、墓じまいが「離檀(寺じまい)」と一体になるケースがほとんどです。離檀の際には、ご住職へ失礼のないよう、慎重な対応が求められます。
供養ニーズの多様化:従来の墓石のお墓に加え、永代供養墓、納骨堂、樹木葬など、管理負担の少ない新しい供養方法を検討する方が増えています。特に文京区は都心に位置するため、アクセスが良く、後継者不要な屋内型納骨堂への関心が高まっています。
墓じまいは、単にお墓を撤去して終わりではありません。法律(墓地埋葬等に関する法律 第5条・第8条)で定められた正式な手続きを経て、ご遺骨を別の場所に移す「改葬」を行う必要があります。
墓じまいから改葬(お墓の引っ越し)までの手続きは、主に以下の5つのステップで進めます。
後々のトラブルを避けるため、まずは墓じまいの方針について、ご家族・ご親族全員で話し合い、合意を得ることが最も大切です。
遺骨をどこに移すかを決めます。永代供養墓、納骨堂、樹木葬など、文京区の地域性やご自身の希望に合った供養先を検討します。
改葬には、現在のお墓がある自治体で発行される「改葬許可証」が必要です。文京区にお墓がある場合は、文京区役所にて必要書類を提出して取得します。
改葬許可証が交付されたら、現在のお墓で閉眼供養(魂抜き)を行い、石材店に依頼して墓石を撤去し、墓所を更地に戻し返還します。
新しい供養先に改葬許可証を提出し、納骨して完了です。必要に応じて開眼供養を行います。
墓じまい、改葬の詳しい流れは、お墓じまいマニュアル や 改葬(お墓の引越し)マニュアル をご覧ください。
墓じまいの中心となる行政手続きは、文京区役所での「改葬許可申請」です。申請窓口や必要書類を事前に把握しておくことで、手続きが円滑に進みます。
・東京メトロ後楽園駅:丸ノ内線(4a・5番出口)・南北線(5番出口)徒歩1分
・都営地下鉄春日駅: 三田線・大江戸線(文京シビックセンター連絡口)徒歩1分
・JR総武線水道橋駅:(東口)徒歩9分
文京区での改葬許可申請には、以下の書類が必要です。
・改葬許可申請書:文京区役所の窓口で入手、または 文京区の公式ウェブサイトからダウンロードできます。遺骨1体につき1枚の申請書が必要です。
・埋葬証明書: 現在の墓地の管理者から遺骨が埋葬されていることを証明してもらいます。改葬許可申請書の下部に埋葬証明欄があるため、そちらに記入・押印を頂いた場合、別途取得する必要はありません。
・使用承諾書・受入証明書等:新しい供養先が、遺骨を受け入れることを証明する書類が必要です。こちらの書類は改葬先の墓地管理者から発行してもらいます。
必要な場合は、こちらの承諾書ダウンロード から取得してください。ちなみに文京区では一枚の用紙に上記2種類の承諾書が記載されています。申請者と現在墓地使用者・改葬先墓地使用者と両者が異なる場合以外は、どちらか該当する方のみ記名押印して提出するかたちになります。
文京区役所では郵送での申請も可能です。書類不備があると手続きが遅れるため、以下の点に注意してください。
改葬許可申請書の詳しい記入方法は、【改葬許可申請書】取得・記入方法と必要書類 をご確認ください。
文京区で墓じまいを行う際の費用は、主に以下の3つの要素で構成されます。都心部の文京区では、地方と比較して費用が割高になる場合もあります。内訳を理解し、計画的に進めることが大切です。
1平方メートルあたり10万〜20万円が目安です。
文京区は住宅地が多く、道幅が狭い場所では手作業になるため、費用が高くなる可能性があります。複数の石材店から見積もりを取りましょう。石材店の選び方は【墓じまい】石材店の選び方と費用 を参考にしてください。
お墓から魂を抜く「閉眼供養」のお布施は3万〜5万円程度が相場です。
離檀料は必ず請求されるものではありませんが、寺院との関係性や慣習によって高額な額を請求される場合もあります。お布施については【墓じまいのお布施】相場・渡し方・注意点 を 高額な離檀料を請求された場合は【高額離檀料請求】墓じまい対処法 をご覧ください。
供養方法によって大きく異なります。
改葬先の選び方や改葬で知っておきたいことは【改葬先】選び方と失敗しない注意点 や【改葬の基礎知識】お墓の引越しで知るべき5つのこと も参考にしてください。
墓じまいの後、遺骨をどこに供養するかは最も重要な決断です。文京区の住民は、都心ならではの利便性を重視しつつ、歴史や文化を大切にする供養先を選ぶ傾向があります。
文京区内の多くの寺院が永代供養に対応した墓地を提供しており、永代にわたって供養を任せられる安心感から選ばれています。都心からのアクセスが非常に良く、バリアフリー対応の屋内型納骨堂も増えています。
文京区には区営霊園はありませんが、都立霊園は改葬先として人気です。文京区からアクセスしやすい都立霊園としては、谷中霊園(台東区)、染井霊園(豊島区)、青山霊園(港区)などが挙げられます。(それぞれの都立霊園の詳細な情報は【都立霊園】墓じまい・改葬手続き代行 をご覧ください。)
ただし、都立霊園は抽選制であり、申し込みには居住年数などの条件があるため、事前の確認が必要です。都立霊園の申込方法については、【都立霊園】申込方法・要件・墓地の種類を解説 をご覧ください。
A1: お墓を完全に撤去して更地に戻し、寺院に返還する場合は、通常、離檀が伴います。文京区は「寺町」と呼ばれるほど寺院が多く、護国寺や傳通院など歴史ある寺院墓地も少なくありません。代々のご縁が深いご家庭も多いため、離檀の際にはご住職に事前に相談し、感謝の気持ちを伝えながら丁寧に進めることが大切です。
A2: はい、可能です。
仕事などで時間が取れない方は、行政書士に依頼することで、書類作成から申請まで一括で代行できます。当事務所では、手続きの代行から、墓じまいに関するご相談まで、幅広くサポートしています。
A3: 改葬許可申請は、現在お墓がある地方の自治体で行います。文京区役所ではありませんのでご注意ください。当事務所は全国のお墓じまい・改葬に対応しており、遠方の手続きも代行可能です。
A4: はい、可能です。手元供養と呼ばれ、宗教や形式にとらわれずに供養できます。ただし、将来的なことも考慮して、ご親族間で十分に話し合っておくことが大切です。手元供養の注意点は【手元供養】注意点と知っておくべきこと をご覧ください。
A5: 申請自体は書類に不備がなければ即日で完了することが多いですが、ご親族との話し合いや、お寺・石材店との調整を含めると、数週間から数ヶ月かかる場合があります。
A6: 費用を抑えるには、以下のポイントが挙げられます。
墓じまいや改葬の費用と相場は【墓じまい費用】安く抑える方法と相場 や【改葬費用】お墓の引越しにかかる費用と相場 をご覧ください。
A7: 文京区には区営霊園はありません。そのため、改葬先としては都立霊園(谷中霊園・染井霊園・青山霊園など)が検討されることが多いです。
特に谷中霊園は台東区に所在しますが、文京区民の利用が多く見られます。都立霊園は抽選制であり、申込条件に居住年数や世帯の状況が関わるため、事前の確認が必要です。(都立霊園の募集情報などは、東京都公園協会のHPをご覧ください。)
近年は文京区内の寺院でも永代供養墓や樹木葬を新設する例が増えており、選択肢の幅が広がっています。
文京区で墓じまい・改葬を行う場合、地域の歴史や文化、都心ならではの事情が重なり、手続きが複雑になることがあります。特に、護国寺や傳通院など歴史ある寺院が多い「寺町」という地域性から、離檀や寺院との調整には細やかな配慮が求められます。
また、都心部の墓地は敷地が狭いことが多く、墓石の撤去費用が高額になったり、作業に時間を要するケースも見られます。さらに、地方にあるお墓を文京区周辺の永代供養墓や納骨堂へ改葬したいというご相談も増えており、状況に応じた柔軟な対応が必要です。
大塚法務行政書士事務所は、文京区をはじめ東京都全域で多数の墓じまい・改葬をサポートしてきた実績があります。お墓の専門家として、以下のような総合的なサポートをご提供しています。
「何から始めればよいのか分からない」「手続きや費用が不安」という方は、まずは当事務所にご相談ください。文京区ならではの事情に精通した専門家が、お客様の心の負担を軽減し、安心できる墓じまい・改葬をサポートします。
大塚法務行政書士事務所 行政書士 大塚博幸
【 メディア掲載・著書・講演実績 】
・大塚法務行政書士事務所は、お墓に関する専門家として、これまで様々なメディアで取材を受け、記事掲載や講演を行ってまいりました。詳しくは、こちらからご覧ください。
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