
近年、「墓じまい」を選択する方が急速に増えています。
厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、全国の改葬件数は2004年度の約6.8万件から、2024年度には約17.6万件まで増加しています。特に近年は、2022年度約15.1万件、2023年度約16.7万件、2024年度約17.6万件と増加が続いています。
この現象の背後には、現代社会特有の様々な理由と背景が存在します。
このページでは、墓じまいが増加している社会的な背景と主な理由を深く掘り下げ、墓じまいがもたらすメリット・デメリット、さらには今後考えられる動向や後悔しないためのポイントについて、お墓専門の行政書士が分かりやすく徹底解説します。
墓じまいの件数が近年、急速に増加している背景には、少子高齢化や核家族化といった社会構造の変化が大きく影響しています。具体的には、以下の点が主な理由として挙げられます。

現代社会では、昔ながらの大家族制度が減少し、核家族化が進んでいます。これにより、先祖代々のお墓を継ぐ人がいなくなる「承継者不在」の問題が顕在化しています。また、少子化により子供の数が減り、お墓を継ぐ世代がいなくなる、あるいは複数のお墓を継ぐ負担が増えるという状況も、墓じまいを考える大きな要因となっています。
ご自身が亡くなった後、お墓が無縁墓になってしまうことを案じ、元気なうちに墓じまいを選択する方もいます。
→ 承継者問題については、【お墓の承継トラブル】Q&A・事例と対策 で詳しく解説していますのでご参照ください。

特に寺院墓地の場合、お墓の管理費の他に、お布施や寄付など、金銭的な負担が続くことに難しさを感じる方が少なくありません。 檀家としての付き合いが希薄になる中で、これらの負担が重く感じられ、墓じまいを検討するきっかけとなることがあります。
墓じまいの費用全般や、お布施、離檀料に関する具体的な情報は、以下の記事で詳しく解説しています。
→ 墓じまいの費用全般については、【墓じまい費用】安く抑える方法と相場
→ 費用負担の具体的な話し合いについては、 【墓じまい費用】誰が負担?相場・内訳と話し合い
→ お布施については、 【墓じまいのお布施】相場・渡し方・注意点
→ 離檀料については、 【離檀料の相場】墓じまい・改葬時の注意点

現代では、「先祖代々のお墓に入るべき」という伝統的な考え方にとらわれず、個人の価値観に基づいた多様な供養の形が受け入れられるようになりました。永代供養墓、納骨堂、樹木葬、散骨など、承継者を必要としない、あるいは管理の手間が少ない供養方法が普及したことも、墓じまい増加の大きな要因です。
新しい供養先については、以下の記事をご参照ください。
→ 改葬先の選び方: 【改葬先】選び方と失敗しない注意点
→ 永代供養墓について: 【永代供養墓】基礎知識・選び方
→ 納骨堂について: 【納骨堂とは】選び方・費用・注意点を解説
→ 樹木葬について: 【樹木葬】基礎知識・選び方
→ 散骨について: 【散骨の基礎知識】費用・注意点を解説

進学や就職を機に地元を離れ、都市部に定住する人が増えた結果、実家や故郷にあるお墓が遠方になり、お墓参りや管理が大きな負担となるケースが増えています。特に高齢になると、遠方へ移動すること自体が困難になるため、墓じまいを検討する方が多くなっています。
→ 遠方のお墓の墓じまいについては、【遠方のお墓】墓じまい手続きの流れと注意点 で詳しく解説しています。
墓じまいには、様々な心理的、物理的なメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。
お墓の承継者がいない、あるいは今後いなくなる可能性が高い場合でも、墓じまいをして永代供養墓などに改葬することで、ご先祖様のお骨が無縁仏となることを防ぎ、安心して永続的な供養を続けることができます。
お墓の管理は、年間管理費の支払い、清掃、法要の手配など、子孫にとって継続的な精神的・経済的負担となります。墓じまいをすることで、こうしたお墓の管理に伴う負担を将来の世代へ引き継ぐことを避けることができます。
ご自身が元気なうちに墓じまいを行うことは、終活の一環として、お墓の将来について整理しておく方法の一つです。今後の供養方法や管理についてあらかじめ決めておくことで、ご自身や家族の将来の負担や不安を軽減することにつながります。
→ 終活としての墓じまいについては、【墓じまいと終活】後悔しない進め方 をご覧ください。
墓じまいを機に、永代供養墓、納骨堂、樹木葬、散骨など、ご自身の価値観やライフスタイルに合った新しい供養の形を自由に選択できる機会が生まれます。これにより、より現代に即した供養を実現できます。
メリットがある一方で、墓じまいには事前に考慮しておくべきデメリットや注意点も存在します。
墓じまいには、墓石の撤去費用、新しい供養先にかかる費用、閉眼供養のお布施、寺院によっては離檀料など、様々な費用が発生します。事前に見積もりや必要な費用を確認せずに進めると、想定以上の費用がかかることがあります。
費用を安く抑える方法や、具体的な費用の内訳については、以下の記事で詳しく解説しています。
墓じまいは、寺院や親族にとってデリケートな問題であり、伝え方や進め方を誤ると、感情的な対立やトラブルに発展するリスクがあります。特に、寺院からの高額な離檀料請求や、親族間での意見の相違が原因となるケースが少なくありません。
トラブルを避けるための具体的な対策は、以下の記事で詳しく解説しています。
→ ご住職への話し方: 【墓じまい】ご住職への話し方
→ 離檀で揉めないポイント: 【墓じまい・離檀】最初の相談で揉めないポイント
→ 高額離檀料請求への対処法: 【高額離檀料請求】墓じまい対処法
→ トラブル事例集: 【墓じまいトラブル事例集】原因と予防策
墓じまいには、現在の墓地管理者との手続き、自治体への改葬許可申請、新しい供養先との契約、石材店の手配など、複数の関係者との調整と行政手続きが伴います。これらの手続きには時間と労力がかかり、慣れない作業にストレスを感じる方も少なくありません。
→ 墓じまいの手続きの流れについては、 お墓じまいマニュアル をご参照ください。
墓じまいの増加傾向は今後も続くと予想され、供養のあり方も多様化していくでしょう。
少子高齢化やお墓の承継者不足、遠方からの管理負担などの問題は今後も続くと考えられます。また、寺院側でも住職の高齢化や後継者不足が課題となる地域があります。こうした状況から、墓じまいや承継者を必要としない供養方法への関心は、今後も続くと考えられます。
多様な供養先が増える一方で、一部の納骨堂や霊園では経営破綻の事例も報告されています。実際に札幌市では、納骨堂を運営する宗教法人の経営破綻が問題となった事例もあります。長きにわたり安心して供養を続けるためには、運営母体の安定性や実績をしっかりと確認し、慎重に供養先を選ぶことが重要です。
費用や長期的な管理面を重視する場合、自治体が運営する公営墓地(永代供養墓や合葬埋蔵施設を含む)も選択肢の一つです。居住要件などの申込条件がありますが、民間霊園とは異なる料金体系や管理体制が設けられているため、条件を比較しながら検討するとよいでしょう。

墓じまいが増えている背景には、承継者不足や管理負担、供養に対する価値観の変化など、さまざまな事情があります。一方で、墓じまいは一度行うと元に戻すことが難しいため、事前に十分な検討が必要です。
墓じまいを考える際は、メリット・デメリットだけでなく、費用、寺院や親族との関係、改葬に必要な行政手続き、新しい供養先などについても確認し、全体の流れを把握したうえで準備を進めることが大切です。
特に、寺院や親族との話し合い、墓石撤去費用、改葬許可申請などは、進め方によって負担やトラブルにつながることがあります。事前に必要な情報を集め、ご自身やご家族に合った方法を検討しましょう。
墓じまいや改葬の手続きに不安がある場合は、当事務所でもご相談を承っています。お墓に関する手続きを扱う行政書士として、それぞれの状況に応じて、必要な手続きや進め方をご案内いたします。
お墓じまいでは、寺院への相談や改葬手続き、墓石の撤去など、確認することが多くあります。
全体の流れや費用、注意点は「お墓じまいマニュアル」で詳しく解説しています。
大塚法務行政書士事務所 行政書士 大塚博幸
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・大塚法務行政書士事務所は、お墓に関する専門家として、これまで様々なメディアで取材を受け、記事掲載や講演を行ってまいりました。詳しくは、こちらからご覧ください。

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