
墓じまいを考え始めたものの、寺院のご住職に直接会って話すことに抵抗があり、できれば会わずに手続きを進めたいと考える方は少なくありません。
過去のやり取りや寺院との関係など、様々な理由から、ご住職との対面に不安やためらいを感じる方もいます。
ただし、墓じまいを進めるには、寺院への連絡や必要な確認を行うことが大切です。ご住職に直接会いたくない場合は、どのように進めればよいのでしょうか?
この記事では、墓じまいでご住職に会いたくないと感じる主な理由と、直接会わずに意向を伝える方法、その際の注意点について分かりやすく解説します。
お客様からお話をお聞きしていると、墓じまいをご検討される際に、ご住職に会うことに抵抗を感じる理由として、以下のような話を伺うことがあります。
お盆やお彼岸、法事などで年に一度会うか会わないか程度で、個人的な関係性がほとんどないため、改めて重要な話をする場を持つことに気まずさや戸惑いを感じる。
以前のやり取りで無愛想だと感じた、話を聞いてくれなさそう、威圧感があるなど、ご住職の性格や態度からくる苦手意識があり、対面で話すことに気が引ける。
過去にお布施や寄付の話題が多く、今回墓じまいの話を切り出したら、高額な費用(特に離檀料)を請求されるのではないかという不安が強く、お金に関するデリケートな話をするために対面を避けたい。
・離檀料に関する詳しい考え方や、高額な請求をされた場合の具体的な対処法については、【離檀料の相場】墓じまい・改葬時の注意点、【高額離檀料請求】墓じまい対処法 で詳しく解説していますのでご参照ください。
ご住職を前にすると緊張してしまい、伝えたいことを正確に話せないのではないか、あるいは想定外の反応をされた場合に適切に返答したり、自分の意見を伝えたりすることができないのではないか、という不安。
このように、単に面倒だという理由だけでなく、過去の経験や関係性、あるいは具体的な不安(特に費用面)から、ご住職との直接的な対面を避けたいと感じている方が多くいらっしゃいます。
墓じまいそのものの理由(遠方、承継者不在など)と、ご住職に会いたくない理由は異なります。この記事では、後者の「会いたくない理由」に焦点を当てています。
・墓じまいをご検討される具体的な理由については、【墓じまい増加の理由】背景とメリット・デメリット で詳しく解説していますので併せてご参照ください。
ご住職に直接会うことに抵抗がある場合でも、墓じまいの意向や相談があることを伝えるための、いくつかの代替手段があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、ご自身の状況や寺院との関係性に応じて検討することが重要です。
ご自身の気持ちを落ち着いて整理し、感情的にならずに伝える方法として、手紙は有効な手段の一つです。特に、直接話すのが苦手な方や、緊張してうまく説明できるか不安がある方にとって、冷静に、そして正確に意向を伝えることができます。
長年にわたりお世話になっていることへの感謝の気持ちを丁寧に述べます。「〇〇家△△(氏名)と申します。日頃より、先祖代々のお墓をお守りいただき、心より感謝申し上げます。」といった丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
なぜ墓じまいを考え始めたのか、具体的な理由を誠実に伝えます。「高齢になり、遠方のお墓参りが難しくなってきたため」「私の代で承継する者がいなくなるため、無縁になるのを避けるため」など、前向きでやむを得ない理由を中心に述べましょう。
一方的な通知ではなく、あくまで「ご相談したい」という姿勢を示します。「つきましては、今後のことについてご相談させて頂きたく、一度お時間を頂戴できますでしょうか。」といった形で、話し合いの場を持ちたい意向を伝えます。
墓じまいを本格的に検討し始め、最初の相談をしたいと考えた初期段階が良いでしょう。寺院のお盆やお彼岸といった忙しい時期を避ける配慮も大切です。
手紙が寺院に届いたか確認のため、数日後に電話で連絡してみるのが丁寧です。「先日、お墓に関するご相談のお手紙をお送りさせて頂いた〇〇家の△△ですが、お手元に届きましたでしょうか。」と尋ね、手紙を読まれた上でのご住職の反応や、今後の相談の機会について話を進めます。
・メリット:ご自身のペースで落ち着いて意向を伝えられる、感情的にならずに済む、事前に内容を推敲できる。
・デメリット:気持ちが十分に伝わらない可能性、一方的と捉えられるリスク、返信が来ない場合がある。
ご自身がどうしても会いたくない場合や、遠方に住んでいるなどで訪問が難しい場合に、信頼できる家族や親族に代わりに寺院と話してもらう方法です。寺院と家族・親族の間に関係性がある場合などに検討しやすいでしょう。
寺院との関係性が深い家族、あるいは墓じまいに最も関わる親族(例:祭祀承継者となる人、子供など)が適任でしょう。依頼する際は、墓じまいを検討している理由や、ご住職に伝えたいことなどをしっかりと共有しておくことが重要です。
寺院へ連絡する際に、「体調が優れないため」「遠方に住んでいるため」など、本人が直接伺えない理由を丁寧に伝え、「代わりに〇〇(氏名・続柄)が伺ってもよろしいでしょうか」と許可を得ます。
本人からしっかりと情報や意向を聞いておく、寺院への敬意を忘れない、その場で即答できないことは「一度本人に確認します」と持ち帰る、といった点を心がける必要があります。
・メリット:本人の精神的な負担を軽減できる、家族間の連携を深めるきっかけになる、寺院との既存の関係性を活用できる場合がある。
・デメリット:依頼された家族に負担がかかる、本人と家族の間や、家族と寺院の間で意思疎通の誤りが生じるリスク、家族だけで対応しきれない難しい問題が発生する可能性がある。
ご自身や家族・親族による対応が難しい場合や、寺院との間に複雑な事情がある場合は、行政書士や弁護士などの専門家に相談する方法があります。行政手続きや必要書類について相談したい場合、すでに寺院とのトラブルが生じている場合など、状況に応じて相談先を選ぶことが大切です。
行政書士:墓じまいに伴う改葬許可申請などの行政手続き、必要書類の作成・確認、寺院との日程調整や事務連絡などのサポートが可能です。ただし、離檀料の減額交渉など、寺院との紛争性のある事項について代理交渉を行うことはできません。
弁護士:寺院との間の代理交渉(離檀料、修繕費、境内整備費など)や、法的なトラブルが発生した場合の対応が可能です。寺院との間にすでに金銭的なトラブルや法的な紛争がある場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
ご住職に会いたくない理由が非常に強い、寺院との間に既にある程度の摩擦がある、手続きが複雑で自身での対応が難しい、遠方で訪問が困難、冷静な第三者の視点からアドバイスやサポートが欲しい、といった場合に専門家への依頼が有効です。
・メリット:プロの知識・経験に基づいた適切な対応が期待できる、ご自身や家族の負担を大幅に軽減できる、冷静な第三者が入ることでスムーズに進む場合がある、法的なトラブル対応が可能になる(弁護士の場合)。
・デメリット:専門家への費用が発生する、専門家によって対応範囲や費用が異なる。
墓じまいや改葬に関する実績が豊富か、費用の説明が明確か、相談しやすいか、などを確認して選びましょう。
・専門家(行政書士や弁護士など)の詳しい選び方や依頼できる範囲については、【改葬相談先】お墓の引越しはどこに頼む?選び方・費用で詳しく解説しています。
石材店などの業者が「離檀交渉を代行します」などと案内している場合がありますが、報酬を得て寺院との離檀料などについて代理交渉を行うことは、弁護士法に抵触するおそれがあります。
書類の準備や日程調整などの手続きサポートと、離檀料などについて寺院と話し合う交渉は異なります。依頼する際は、どこまで対応してもらえるのかを事前に確認しましょう。
・離檀料に関する交渉や法的なトラブルについては、【墓じまいトラブル事例集】原因と予防策 で詳しく解説していますのでご参照ください。
ここまでご紹介した「手紙」「家族・親族」「行政書士」「弁護士」には、それぞれ異なる特徴があります。ご自身の状況に合わせて方法を選ぶための比較ポイントをまとめました。
ご住職に直接会わずに墓じまいの意向を伝える場合でも、これまでお墓を守っていただいたことへの感謝と、墓じまいを検討している理由を丁寧に伝えることが大切です。
手紙、家族・親族を通じた連絡、専門家への相談など、どの方法を選ぶ場合でも、一方的に墓じまいを進めるのではなく、まずは寺院に相談する姿勢で連絡しましょう。
また、閉眼供養や墓地の返還方法、必要書類など、寺院ごとに確認が必要な事項があります。直接会わない場合ほど、伝え漏れや認識の違いが生じないよう、必要な内容を整理して確認しながら進めることが重要です。
・寺院との間で不要な揉め事を避け、円満に墓じまいを進めるためのポイントについては、【墓じまい・離檀】最初の相談で揉めないポイントや【改葬手続き】寺院と円滑に進めるポイントもご覧ください。
ご住職に直接会いたくない場合でも、手紙で伝える、家族・親族に代わってもらう、専門家に相談するなど、状況に応じた方法があります。
ただし、墓じまいを進めるには、寺院への連絡や必要な確認は欠かせません。ご自身の状況や寺院との関係を考えながら、無理のない方法を選び、相談する姿勢で進めることが大切です。
改葬許可申請などの行政手続きや必要書類の準備について、ご自身で進めることが難しい場合は、墓じまいの手続きに詳しい行政書士へ相談する方法もあります。
お墓じまいでは、寺院への相談や改葬手続き、墓石の撤去など、確認することが多くあります。
全体の流れや費用、注意点は「お墓じまいマニュアル」で詳しく解説しています。
大塚法務行政書士事務所 行政書士 大塚博幸
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・大塚法務行政書士事務所は、お墓に関する専門家として、これまで様々なメディアで取材を受け、記事掲載や講演を行ってまいりました。詳しくは、こちらからご覧ください。

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