
・墓じまいや改葬を進める上で、寺院のご住職から最初の相談でご理解や同意を得ることは最初の大きなステップです。
しかし、同意を得られた後も、実際に改葬の手続きを進めて完了させるまでの間、寺院との連携や調整は続きます。
この手続きが進行している段階においても、寺院との円滑なコミュニケーションを保つことが、スムーズな改葬全体の完了には不可欠です。
この記事では、「改葬手続きで寺院と円滑に進めるためのポイント」として、ご住職の同意を得て改葬の手続きを開始した後、完了までの間に、寺院と円滑に進めるための具体的なポイントについて、分かりやすく解説します。
ご住職から墓じまい・改葬の基本的な同意を得られたら、いよいよ具体的な手続きを開始することになります。この手続きをスムーズに進めるためには、寺院側にも協力していただく必要があります。
手続きを開始した後、改めて寺院に連絡を取り、以下の点を丁寧に確認・連携していくことが重要です。
自治体への改葬許可申請には、寺院が発行する「受入証明書」や「埋葬証明書」などの書類が必要になる場合があります。どのような書類が必要か、発行してもらうにはどうすれば良いか、いつ頃発行可能かなどを確認します。
寺院によっては、離檀にあたって特定の書類提出が必要であったり、手続きの順序や慣習があったりします。寺院側の進め方や要望について丁寧に確認し、可能な範囲でそれに沿うようにします。
墓石の撤去前には閉眼供養(魂抜き)を行うのが一般的です。供養の希望日時、ご住職の都合、供養料(お布施)について確認します。
手続きの途中で、ご住職から墓地に関する最終確認や、過去の書類の確認などを求められる場合があります。これらに対しても誠実に対応します。
ご住職へ最初の相談を行い、同意を得るまでのポイントについては、こちらの記事:墓じまい・離檀の最初の相談で揉めないためのポイントで詳しく解説しています。
また、改葬手続き全体の詳細な流れについては、こちらの記事:改葬(お墓の引越し)マニュアルで、遠方の場合の特別な流れや注意点については、こちらの記事:遠方のお墓を改葬(引越し)する流れと手順で詳しく解説していますので併せてご参照ください。
墓石の撤去は、改葬手続きにおける主要な工程の一つであり、この際に寺院との連携が特に重要になります。
墓石の撤去は石材店に依頼します。寺院墓地の場合、寺院が指定する石材店があるかを確認します。指定がない場合はご自身で石材店を選びますが、その場合も、どの石材店に依頼するかを事前にご住職に報告し、了承を得ておくのが丁寧です。
指定石材店がある場合は、原則としてその石材店に依頼するのが、その後の寺院とのやり取りをスムーズに進める上で最も無難な方法です。指定石材店から必ず墓石撤去の見積もりを取得し、内容をしっかり確認しましょう。
もし、見積もり金額が明らかに不当に高額であると感じる場合は、その旨を丁寧にご住職に相談し、価格について再検討してもらえるか、あるいは他の石材店に依頼することの可否を改めて話し合えるか確認してみましょう。
石材店全般の選び方や、指定石材店がある場合の注意点については、こちらの記事:石材店の選び方と注意点について解説いたします。 や こちらの記事:お墓を撤去する石材店は、自由に選べるのか? で詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
墓石撤去の日程、作業時間、工事車両の乗り入れ、寺院内の通路や他の墓地への配慮などについて、石材店と寺院、そして施主の間で密に連携を取り、寺院に迷惑がかからないように調整を進めます。
石材店から取得した見積もりに基づき、費用を確認します。
墓石撤去費用の相場や詳細については、こちらの記事:墓じまいの費用を安くするには?解説いたします。で詳しく解説しています。一般的なお墓の撤去費用は、お墓の面積が広い場合や作業が難しい場所では高くなる傾向があります。
改葬手続きの重要な要素である閉眼供養と遺骨の取出しは、通常、ご住職が立ち会われる中で行われます。この際の寺院との調整も円滑に進めるポイントです。
ご住職のご都合を最優先に、閉眼供養の日程を調整します。石材店の作業日や、改葬先の受け入れ日なども考慮に入れる必要があります。お盆やお彼岸、年末年始など、寺院の繁忙期を避けるのがマナーです。
閉眼供養の方法や、必要な準備物(お供え物など)について、寺院側の要望を確認します。
閉眼供養に対するお布施の目安や、いつ、どのような形でお渡しすれば良いかを確認します。
閉眼供養後に、石材店によって墓から遺骨が取り出されます。この際、ご住職や石材店と連携し、失礼のないように立ち会います。取出した遺骨が湿っている場合の乾燥方法や、移動中に骨壺が割れない様に骨壺を包む布・タオルなどを準備しておくといった、取り扱いに関する実務的な注意点も、必要に応じて石材店等に確認しておきましょう。
墓石の撤去と遺骨の取出しが完了したら、最後に寺院に墓地を返還する手続きを行います。
石材店による撤去作業が完了したら、寺院側と一緒に墓地が契約通りに更地になっているかを確認します。
寺院によっては、墓地返還に関する書類(例:墓地返還届)の提出が必要な場合があります。また、寺院側から改葬が完了したことの証明書などが発行される場合もありますので、必要な書類のやり取りを行います。
これまでの手続きで未払いとなっている費用(離檀料や閉眼供養料の残金、墓地管理料の精算など)がないか、最終的な確認を行います。
すべての手続きが完了し、墓地を返還する際にも、これまでの感謝の気持ちを改めて丁寧に伝えます。
※一般的には、閉眼供養日までに墓地返還に関する書類等の提出や未払金の支払いを完了させておき、墓地撤去の確認は石材店にお任せすることが多いです。なお墓地撤去後の写真を送るよう石材店にお願いしておけば、写真を郵送してくれます。
改葬手続きは、最初の相談から完了まである程度の期間を要します。この手続きが進行している間も、寺院との良好な関係を維持するために、以下の心構えが大切です。
寺院からの連絡や確認事項に対しては、丁寧な言葉遣いを心がけ、できるだけ迅速に対応します。手続きを円滑に進めるためには、施主側の協力も不可欠です。
改葬は寺院側からすると檀家が一人減ることを意味し、必ずしも歓迎されることばかりではありません。手続きを進める上で、寺院側の感情や事情にも配慮し、一方的にならないように心がけましょう。
手続きの進捗状況(例:改葬許可証が取得できた、石材店と日程を調整しているなど)について、寺院側にも適宜報告・連絡・相談を行うことで、寺院も状況を把握でき、安心して手続きを進められます。
手続き中に予期せぬ問題や確認事項が発生する可能性もゼロではありません。そのような場合でも感情的にならず、冷静に事実を確認し、誠実に対応することが重要です。
手続き中に万が一トラブルが発生した場合の対処法については、こちらの記事:墓じまいのトラブル例をまとめて解説。で詳しく解説していますのでご参照ください。
ご住職への最初の相談に関する心構えについては、こちらの記事:墓じまい・離檀の最初の相談で揉めないためのポイントで詳しく解説しています。
寺院のお墓の墓じまい・改葬は、ご住職への最初の相談だけでなく、その後の改葬手続きが進行している間も、寺院との円滑な連携と丁寧な対応が非常に重要です。
手続きを開始した後、必要な書類や寺院の慣習を確認し、石材店の選定や日程調整、閉眼供養の実施など、各段階で寺院との密な連携が求められます。墓地返還を終える最後まで、報告・連絡・相談を丁寧に行うことが大切ですす。
手続き進行中も、寺院への敬意を忘れず、誠実な態度で臨むことで、円滑な手続きの完了だけでなく、寺院との関係性を穏やかに終えることに繋がります。これらの手続き中のポイントをしっかりと押さえることが、円満な墓じまい・改葬全体の成功に不可欠です。
ご自身でこれらの手続き中の寺院との連携を進めるのが難しい、あるいはご不安がある場合は、墓じまいの専門家にご相談ください。
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