特別祭祀承継制度について解説します。|大塚法務行政書士事務所(東京都)
お墓の承継者がいない方に対し、寺院等の経営主体が祭祀承継者となり、故人のお墓を管理していく制度を「特別祭祀承継制度」と呼ばれています。この制度は、事前に墓地使用者から寺院等に祭祀承継者の指定を行って頂く必要があります。
行政書士 大塚博幸
行政書士 大塚博幸

特別祭祀承継制度について解説

合掌する住職
・墓地承継者はいないが、永代供養墓ではなく一般的なお墓に埋葬されたい、ご自身の死後、先祖・家族のお墓に埋葬され一定期間そのままにしてほしい。という方も多いかと思います。

 

「特別祭祀承継制度」とは、祭祀承継者がいない墓地所有者等から事前に寺院等(経営主体)が墳墓の祭祀承継者として指定されることにより、所有者死亡後に、その墳墓を寺院等が一定の期間に渡り管理をして行くことを言います。

 

又、一定期間(10年~30年程度)経過した後には、墳墓の祭祀承継者として他の場所に改葬を行うことも可能となります。この改葬手続は、無縁墓改葬ではなく祭祀承継者として通常の改葬許可申請を行うことになりますので、無縁墓改葬と比較して手続が簡略化出来ます。

承継の指定(参考文)

承継者のいない方と下記の様な文章を取り交わしておくことは、無縁墓対策としても有効であるかと思われます。(公正証書での作成をお勧めします。)

 

※下記は参考例になります。状況に併せて加筆・修正等を行い自己責任にてご使用下さい。(当事務所では一切の責任を負い兼ねますのでご了承下さい。)

 

墳墓に関する承継の指定(参考)

令和  年  月  日

 

 

私(〇〇 〇〇)が所有権を有する墳墓(東京都〇〇区〇〇 〇〇-〇〇-〇〇 〇〇寺院 境内墓地 区画番号〇〇-〇〇)に関し、私の死亡後の祭祀主宰者として民法897条に基づき〇〇〇〇〇〇を指定します。又、左記に指定した祭祀主宰者が同墳墓内の焼骨の改葬許可申請を行う場合には、同改葬許可申請を承諾します。尚、「墓地、埋葬等に関する法律施行規則 第二条2項二号」で定められている承諾書を管轄の自治体より求められた場合には、本書をもって承諾書といたします。

 

 

氏名 〇〇 〇〇         ㊞
住所 東京都〇〇区〇〇 〇丁目 〇番 〇号

電話 03-〇〇〇〇-〇〇〇〇

 

上記文に署名捺印(実印)の上、印鑑証明書等の書類を提出して頂く事になります。又、現在の墓地所有者であることの確認(墓地使用許可書等)も必要です。

 

その他、相続人等(祭祀権者)関係者からの同意書も頂いておいた方が、後々のトラブルを避ける為にも良いかと思います。又、もし祭祀承継者に関する争いが発生した場合には、寺院等は、その権利を譲る等の対応についても、墓地所有者に確認し、その旨書面化しておくべきだと思います。

特別祭祀承継制度の注意点

説明する行政書士
上記指定がされた場合においても、死亡にした際に親族等から連絡がなければ実行されない事になります。墳墓承継の相談があった際には、本人から親族等にその旨を説明して頂き、状況により寺院等も参加して話し合いをしておくべきではないでしょうか。

 

又、ご家族等がいない方においては、万が一の場合、病院、介護施設等から連絡が来る様な体制を整えておいた方が良いかと思います。

 

※管轄の自治体においても改葬許可申請を行う際に、その他書類の添付が必要かどうか?事前に必ず確認して下さい。

まとめ

住職(男性)
この様な制度を利用する事は、檀家と寺院の双方にとってメリットが大きいのではないでしょうか?寺院等においては、今後、無縁墓が増々増加することが考えられますので、無縁墓対策としても有効であり、檀家の方にとっても、ご自身の死後しばらくは、墓地をそのままにしておきたいと思われる方も少なくないのではないでしょうか。(私も寺院にお伺いした際に、同様のお話をお聞きした事があります。)

 

実際に霊園等において、この様な制度を取り入れている所もあるかと思いますが、寺院等においては、まだ少ないのではないでしょうか?今後はこの様な制度の利用を一度ご検討されて見ては如何でしょうか?

 

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