宗教法人の《承継》について解説します。|大塚法務行政書士事務所(東京都)
代表役員の退任・死亡等による宗教法人の承継について、どの様な手順が必要なのか?行うべき手続は、どの様なものあるのか?など、宗教法人法と併せて解説させて頂きます。|当事務所では、寺院様の法務サポートを致します。ご質問等がありましたらお気軽にご相談下さい。
行政書士 大塚博幸
行政書士 大塚博幸

宗教法人の承継(代表役員の変更)

寺院
・宗教法人の承継(代表役員の変更)問題が生じた場合、どの様な手順で進めるべきか?、必要な手続は、どの様なものがあるのか?など宗教法人法をもとに解説させて頂きます。

 

※代表役員=住職として話を進めさせて頂きます。

 

1.代表役員の選任

前代表役員(住職)の体調不良、死亡等により代表役員の変更(承継)を行う場合は、法律等の定めにより代表役員を決めることになります。宗教法人法では、代表役員について以下の様に述べられています。

宗教法人法
(代表役員及び責任役員)
第十八条宗教法人には、三人以上の責任役員を置き、そのうち一人を代表役員とする。
2代表役員は、規則に別段の定がなければ、責任役員の互選によつて定める。
3代表役員は、宗教法人を代表し、その事務を総理する。
(以下省略)

上記のことから宗教法人の代表役員は規則に定める手順により決めることになり、規則に定めがない場合は、責任役員の互選により決めることになります。通常の場合、代表役員の選任方法について規則に明記されている場合が多いかと思いますので、その内容を確認した上で選任を行う必要があります。

 

もし規則内にて、前住職の推薦等も考慮されるような場合は、事前に遺言書等にてその意思を明確にしておくことも一つの方法ではないでしょうか?

2.代務者

上記、代表役員の選任において速やかに、後任の代表役員を選ぶことが出来ない場合等は、代務者を選任することになります。宗教法人法20条では、以下の様に定められています。

(代務者)
第二十条 左の各号の一に該当するときは、規則で定めるところにより、代務者を置かなければならない。
一 代表役員又は責任役員が死亡その他の事由に因つて欠けた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき。
二 代表役員又は責任役員が病気その他の事由に因つて三月以上その職務を行うことができないとき。
2代務者は、規則で定めるところにより、代表役員又は責任役員に代つてその職務を行う。

3.役員の欠格

上記代表役員、代務者等、下記に該当する場合は、役員等に就任できません。念の為、こちらも一読下さい。

(役員の欠格)
第二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員となることができない。
一 未成年者
二 心身の故障によりその職務を行うに当たつて必要となる認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
三 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者

その他、包括宗教団体により別途定められている場合もありますので、そちらもご確認頂ければと思います。

3.変更の登記

規則に定めるところにより代表役員が選任されましたら次に変更の登記を行います。

(変更の登記)
第五十三条 宗教法人において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。

一 目的(第六条の規定による事業を行う場合には、その事業の種類を含む。)
二 名称
三 事務所の所在場所
四 当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別
五 基本財産がある場合には、その総額
六 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
七 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三条第一号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項
八 規則で解散の事由を定めた場合には、その事由
九 公告の方法

上記法律により代表役員の変更登記を管轄の法務局にて行うことになりますが、変更登記申請には下記等の書類を提出する必要があります。(詳細は管轄の法務局にご確認下さい。)

  1. 宗教法人変更登記申請書
  2. 退任(死亡)を証する書面(例:退任証明書、死亡届、死亡記載のある戸籍(除籍)謄本等)
  3. 就任を証する書面(例:責任役員会議事録、包括宗教団体の任命書等)
  4. 就任承諾書
  5. 規則
  6. 新代表役員の印鑑届書(新代表者の印)
  7. 新代表役員(個人)の印鑑証明書

4.宗教法人登記変更届

上記変更の登記が完了しましたら、下記の法律により所官庁に届出を行います。

(登記に関する届出)
第九条 宗教法人は、第七章の規定による登記(所轄庁の嘱託によつてする登記を除く。)をしたときは、遅滞なく、登記事項証明書を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければならない。

提出する書類は下記等になります。(詳細は管轄の都道府県等にご確認下さい。)

  1. 登記事項完了届
  2. 代表役員変更届
  3. 登記事項証明書

5.その他

宗教法人法25条2項に役員名簿の備付けが義務付けられております。代表責任役員、責任役員等の変更があった場合には、こちらも忘れずに記載しておきましょう。

(財産目録等の作成、備付け、閲覧及び提出)
第二十五条 宗教法人は、その設立(合併に因る設立を含む。)の時に財産目録を、毎会計年度終了後三月以内に財産目録及び収支計算書を作成しなければならない。
2宗教法人の事務所には、常に次に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。
一規則及び認証書
二役員名簿
(以下省略)

6.まとめ

パソコンを打つ行政書士
ここでは主に現住職の体調不良又は死亡等により、代替わりする際の手続き等につきまして解説させて頂きました。代表役員等の項目につきましては、規則を作成する上で、必要記載事項になりますので、どの様な規則が定められて設立の認証を受けられたか今一度確認されておくべきではないかと思います。

 

また、現在の状況と規則が合致していない場合には、規則の変更等も一度考えられてみては如何でしょうか。

 

当事務所では、寺院様等の法務サポートを行わせて頂いております。上記、代表役員の変更手続きにつきましてもお気軽にご相談下さい。(登記は提携司法書士により行わせて頂きます。)※遺言書・相続手続きも行っておりますので、ご住職(代表役員)の遺言書作成、又は万が一の場合の相続手続きも併せてご相談頂けます。

 

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