寺院(住職)の相続手続きについて解説します。|大塚法務行政書士事務所(東京都)
ご住職が亡くなった場合に、どのような手続が必要になるのか?行うべきことは?ここでは、ご住職の相続問題について解説させて頂きます。又、準備しておいた方が良い事なども併せて解説させて頂きます。|当事務所では、宗教法人に関する方サポートを行わせて頂いております。お気軽にご相談下さい。)
行政書士 大塚博幸
行政書士 大塚博幸

寺院(住職)の相続手続きについて解説。

仏壇
・ご住職が亡くなり、お子さんが寺院を引き継ぐ様な場合、どの様な手続等を行う必要があるのか?

 

この様な場合、①寺院(宗教法人)の承継問題。②故人の相続財産の問題。と左記の2つは分けて考える必要があります。

 

寺院の財産は、原則宗教法人の財産となりますので、次の承継者が引き継ぐことになります。一方、ご住職の財産は、あくまでも故人(個人)の財産ですので遺産分割協議等により相続人が引き継ぐことになります。

 

ここでは、寺院の相続問題について下記に詳しく解説させて頂きます。参考にご覧ください。

 

1.寺院の承継(相続)手続

住職(男性)寺院の承継は、設立時に定めた寺院規則等により承継者を決めることになります。お子さんが承継する場合も、この規則に定める手続(責任役員会の議決、総代会の承認・同意等)、更に包括宗団体がある場合は、その包括団体の定める手続等を行う必要があります。

 

上記、規則等の定めにより代表役員が選任されましたら、変更の登記(法務局)を行い、完了後に管轄の所轄庁に登記変更届を提出することになります。尚、宗教法人の承継財産は、宗教法人法25条で備付けが義務付けられている財産目録によるところになります。

 

●宗教法人の承継についての詳細は、こちらをご覧ください。
→ 宗教法人の《承継》について解説

 

2.ご住職(故人)の相続手続き

ご住職の相続手続きは、一般の方と同様の相続手続きになります。基本的には、戸籍・住民票等の必要な書類を役所から取得し、相続財産の確認後に遺産分割協議を行います。協議後、その内容に元づいて各相続人が相続財産を取得することになります。

 

尚、遺言書がある場合は、その内容に従い、相続人或は親族等が相続財産を取得することになります。

 

・相続手続きの基本的な流れは下記になります。

  1. 故人の所有していた財産を確認し財産目録を作成。
  2. 故人の出生から死亡までの戸籍・住民除票を取得
  3. 相続人の現在の戸籍・住民票・印鑑証明書を取得
  4. 遺産分割協議書の作成、協議後、相続人による署名押印(実印)

・上記書類をもとに行う手続き

  1. 所有権移転登記(不動産を所有している場合)
  2. 相続税申告(申告が必要な場合。相続発生日から10か月以内)
  3. 銀行の解約手続き
  4. 有価証券等の名義変更手続き
  5. 生命保険会社への請求等

その他、年金・健康保険関係の届出(公的機関)、入院してい場合には医療機関への支払い等があります。尚、銀行解約手続等の戸籍原本を提出する機関が多い場合には、先に法定情報一覧図を取得しておくと戸籍を何通も取る必要も無くなり、取得費用の削減にもなります。

 

●相続手続き等の詳細は、こちらをご覧ください。(当事務所サイト)
《相続手続き》相談・サポート

3.ご住職が準備できることは?

清算人
上記で述べました様に寺院承継は、規則で定める手続に従う必要がありますが、規則内に前代表役員の推薦等が含まれている場合は、遺言書を作成することで、その意思を明確にする事が出来ます。

 

ご自身の財産についても、この財産は、誰に相続させたい。など法定相続分と違う分配を望まれる場合には、遺言書を作成しておく必要があります。(遺言書があると相続人間の不要な争いを防ぐことにも繋がります。)尚、遺言書による分配は、遺留分の権利を侵害しない範囲にした方が安心です。(遺留分を侵害した場合、侵害された相続人から訴えられる可能性もあります。)

 

又、日頃から法人と個人の財産をきちんと分けて管理し、個人の財産関係書類はファイル等にまとめておくと、万が一の時、相続人が故人の財産を把握し易くなる為、手続きがスムーズになります。これは、一種の終活と考えて頂ければ良いかと思います。

 

なかには、終活や遺言書の話などをすると縁起が悪いと思われる方もおりますが、終活や遺言書などは、ご自身が元気なうちに行わないと後々難しくなります。例えば認知症と診断された場合、遺言等の作成も難しくなり、作成された遺言書も無効とされる可能性もあります。

 

ですので、残された家族の負担等を少しでも軽くしておきたい。という気持ちがある場合は、ご自身が元気なうちに少しずつ整理等を行う方が良いかと思います。

4.まとめ

パソコンを打つ行政書士
仕事から寺院にお伺いすること多く、ご住職と良くお話をさせて頂きます。

 

承継者の問題で悩まれている寺院も多く、ある寺院では会社員だった息子さんが会社をやめて寺院を継ぐ、或は、娘さんの夫が養子に入り寺院を継ぐなどの話をお聞します。又、寺院を承継しないと住む所もなくなる。と言った話もお聞きしました。

 

この様に、寺院にとって承継者は深刻な問題ですので、万が一の時は、どの様に運営して行くのか?事前にご家族等で話し合っておく必要もあるかと思います。又、不幸にも、ご住職が亡くなられた場合には、寺院の承継問題・相続手続問題がすぐに発生することになります。ですので必要な手続等についても、事前に確認しておいた方が良いかと思います。

 

追 記
説明する女性
当事務所では、寺院承継・相続に関する手続を合わせてご相談頂けます。不動産登記、相続税申告等も各士業と連携しワンストップサービスで進めさせて頂きます。それぞれの士業をご自身で探され、別々に依頼されるよりは、当事務所が窓口になり進めさせて頂いた方が、お客様の負担も少なく安心してお任せ頂けるかと思います。

 

※当記事のご不明点・当事務所へのご質問等ありましたら、お気軽に問合せ下さい。

 

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