
・近年、仕事や勉強のため日本で暮らす外国籍の方が増える中、もしもの時に備えて日本の法律や慣習、手続きを知っておくことは非常に重要です。
日本人とは異なる葬送の文化や、ご遺体を海外へ搬送する際の手続きなど、慌てることなく冷静に対応できるよう、事前に知っておくべき情報をまとめました。
日本国内で外国籍の方が亡くなった場合、国籍に関わらず、まず死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡地または故人の本籍地・現住所地の市区町村役場へ死亡届を提出する義務があります。 この届出には、医師が発行する死亡診断書(または死体検案書)の添付が必要です。
死亡届が受理されると、ご遺体を火葬または埋葬するために必要な「埋火葬許可証」が発行されます。 この許可証がなければ、日本国内での火葬や埋葬は行うことができません。
日本では「火葬」が一般的です。しかし、国際的には「土葬」が一般的で、地域によっては、宗教上の理由で、「火葬」を禁止している国もあります。そのため、死亡者のご遺族に、火葬にするか?土葬にするか?確認する必要があります。
ご遺族が「火葬」をしてもかまわないと判断されれば、日本の市区町村役場での手続き完了後、日本で亡くなった外国人のご遺体を日本で「火葬」して、遺骨を母国に持ち帰る事が出来ます。
その際には、故人の国籍がある国の在外公館(領事館や大使館)に対して、死亡の届出を行い「埋火葬証明書」の発行をしてもらわなければなりません。(埋火葬証明書発行には、時間を要することが多いようです。)
日本では土葬が可能な場所は限られており、多くは火葬が選択されます。しかし、ご遺族が宗教上の理由や故人の遺志により土葬を希望される場合は、ご遺体を母国に移送することを検討します。ご遺体を母国に移送するためには、防腐措置のため「エンバーミング」が必要になります。
エンバーミングは、ご遺体の腐敗を防止し、衛生的に保つための防腐処理です。特に、海外へのご遺体搬送にはこの処理が国際的な要件として求められます。エンバーミングには費用がかかりますが、ご遺体を清潔で安らかな状態に保ち、長距離の搬送を可能にします。
すべての医療機関で対応しているわけではないため、エンバーミングに対応している専門の施設や葬儀社を探して依頼する必要があります。
帰国に際して、必要な書類は各国で異なります。書類は英語で用意する必要があります。
必要な書類は、概ね以下の3点です。
遺族が日本に来ない場合、移送先の現地で遺体を引き取る人の手続きも必要です。大使館や領事館の指示に従って手続きをする必要があります。
病院では長期間ご遺体を安置してはもらえません。エンバーミング処置が終わったご遺体は貨物扱いになり、海外へ送るためには通関手続きが必要となります。航空便の予約の際には、航空会社へ故人の氏名や死亡原因の連絡が必要です。すべての手続きが完了したら、ご遺体を空港へ運び、空輸専用の棺に納めて移送されます。
国を越えご遺体や遺骨を運ぶことは、簡単なことではありません。分からない事ばかりで混乱する状況の中、法律や現地の風習を踏まえ、手続きを行うのは、体力的にも精神的にも大きな負担となります。費用と共に事前に様々な事柄を確認しておきましょう
・海外で火葬されたご遺骨を日本に埋葬する流れについては、「海外の遺骨を日本で埋葬する流れについて解説します。」もご参照ください。
在日外国人の方が日本で亡くなった際の手続きは、日本の制度や文化、そして国際的な要素が複雑に絡み合うため、多くのご遺族が戸惑われます。特に、葬送の方法選択からご遺体(遺骨)の国際搬送、必要書類の手配は、専門知識なしに進めるには大きな負担となります。このマニュアルが、そうした緊急かつデリケートな状況において、お客様が安心して手続きを進められるよう、必要な情報提供の一助となれば幸いで
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