・近年、社会の国際化に伴い、仕事または勉強の為、日本で暮らす外国籍の方が増えています。
日本で亡くなるのは、日本人だけではありません。
日本人であれば葬儀社などにお願いして、色々お任せし頼ることができますが、縁もゆかりもない外国籍の方が日本で亡くなったら。。。。
その時に慌てる事の無いように知っておくべき事を明記しました。
日本では「火葬」が一般的です。しかし、国際的には「土葬」が一般的で、地域によっては、宗教上の理由で、「火葬」を禁止している国もあります。
その為、死亡者の ご遺族に、火葬にするか?土葬にするか?確認する必要があります。
ご遺族が「火葬」をしてもかまわない。と判断されれば、日本で亡くなった外国人の ご遺体を日本で「火葬」して、遺骨を母国に持ち帰る事が出来ます。
その際には、その国の在外公館(領事館や大使館)に対して、死亡の届出を行い「埋火葬証明書」の発行をしてもらわなければなりません。(埋火葬証明書発行には、時間を要することが多いようです。)
おそらく「土葬」か「火葬」で言えば、「土葬」を希望される場合が大半になるかと思います。
ご遺体を母国に移送するためには、防腐措置のため「エンバーミング」が必要になります。
血液系を利用して行う腐敗処理です。「エンバーミング」には、費用が掛かります。又、すべての医療機関で対応してくれるわけではありません。
提供してくれるところを探して依頼する必要があります。
①ご遺体の着衣を取る | ご遺体の状況によっては皮膚の疾患等があるので、傷を付けないように丁寧に死後硬直を解きながら着衣を脱がせます。着衣を取った後は局部を布等で被います。 |
②全身の殺菌、診断 | 消毒薬を全身にスプレーし、体表に付着している微生物や細菌の殺菌を行います。 |
③体腔の殺菌・洗浄 | 鼻腔や口腔、その他の体腔内を消毒薬とコットンで慎重に洗浄します。 |
④整顔 | 目や口を閉じ、自然で安らかな お顔に整えます。また皮膚の乾燥を防ぐためにオイルやクリームを塗布します。 |
⑤切開 | エンバーミング溶液の注入、血液を排泄するための動脈、静脈を挙げるための切開を行います。右鎖骨上部、右もしくは左太ももに1.5~2㎝程度の切開となります。 |
⑥動脈、静脈をあける | 専用の器具を使用して行います。 |
⑦エンバーミング溶液注入 | 動脈にエンバーミング溶液を注入します。同時に静脈を切開し血液の排泄を開始します。 |
⑧マッサージ | 体の先端から心臓に向けて血液の排泄を促すようにマッサージを施します。同時に洗髪を含む全身の洗浄もおこないます。 |
⑨吸引処置 | 注入処置後、胸の内部、お腹の内部に残った体液の吸引を行います。循環器系、消化器系、呼吸器系、すべてに吸引を行い、体内に残った腐敗しやすい物質を取り除きます。 |
⑩縫合 | 注入の際に切開した部分などを、漏れなどが生じないように、丁寧に縫合します。 |
⑪体腔内の防腐、殺菌 | 吸引を行った体腔内に、改めてエンバーミング溶液を注入します。腐敗の進行が早い内臓には、先に注入した液よりも高い濃度のエンバーミング溶液を注入し、腐敗と微生物の繁殖を防ぎます。 |
⑫洗浄 | 殺菌洗剤で、色々な個所を慎重にチェックしながら再度丁寧に洗浄を行います。 |
⑬乾燥 | 全身をタオルで拭き取り、頭髪をドライヤーで乾かし、切開した部分、手術痕などに処置をほどこします。 |
⑭着付け | ご遺族より、お預かりした故人の洋服などを着衣します。 |
⑮化粧 | 年齢や性別を考慮し、その方にあった自然な お顔に整えます。 |
帰国に際して、必要な書類は各国で異なります。書類は英語で用意する必要があります。
必要な書類は、概ね以下の3点です。
遺族が日本に来ない場合、移送先の現地で遺体を引き取る人の手続きも必要です。大使館や領事館の指示に従って手続きをする必要があります。
病院では長期間ご遺体を安置してはもらえません。必要な手続きが完了するまで、ご遺体を預かってもらえる保管場所を探しましょう。その際に、受け入れ先の国で必要な措置を行ってもらいます。
そして、ご遺体を 海外へ送る為の手続きを行います。エンバーミング処置が終わった ご遺体は、貨物扱いになります。その為、通関の手続きが必要となります。
航空便の予約の際には、航空会社へ故人の氏名や死亡原因の連絡が必要となります。すべての手続きが完了したら、ご遺体を空港へ運び、空輸専用の棺に納めて移送されます。
国を越え遺体を運ぶことは、簡単なことではありません。分からない事ばかりで混乱する状況の中、法律や現地の風習を踏まえ、手続きを行うのは、体力的にも精神的にも大きな負担となります。費用と共に事前に様々な事柄を確認しておきましょう。
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