お墓じまいを行い、既存のお墓を整理したものの、その後の遺骨の改葬先をすぐに決められない、あるいは永代供養墓にするか散骨にするかじっくり検討したい、と考える方は少なくありません。このような場合、どのように進めれば良いか、戸惑うこともあるでしょう。このページでは、墓じまい後に改葬先が未定でも、安心して遺骨を管理し、ゆっくりと供養先を決めるための具体的な方法を解説します。特に重要な「埋葬証明書」の取得と活用法、そして遺骨の一時保管について、お墓専門の行政書士が分かりやすくご案内します。1. 墓じまい後、改葬先が未定でも大丈夫墓じまいを行う際、通常は埋葬されている遺骨の新しい改葬先(永代供養墓や新しい墓地など)を決めてから手続きを進めます。しかし、様々な事情で改葬先をすぐに決められない場合でも、安心して墓じまいを進める方法は存在します。(1)改葬許可申請の基本と改葬先が未定の場合の課題通常、墓じまい後の遺骨を別の場所へ改葬するには、現在の墓地の所在地を管轄する自治体で改葬許可申請を行い、許可証を取得する必要があります。この申請書には改葬先の住所を記載する欄があり、自治体によっては改葬先の使用許可証や受入れ証明書の提示を求められることがあります。そのため、改葬先が未定の段階では、これらの書類が揃わず、改葬許可申請ができないという課題が生じます。2. 改葬先が未定の場合の重要手続き:埋葬証明書の活用法改葬先が未定のまま墓じまいを先に進める場合、「埋葬証明書」の取得が非常に重要になります。この証明書は、改葬許可申請や散骨の際に、遺骨の存在と、どこに埋葬されていたかを公的に証明する役割を果たします。(1)埋葬証明書とは?(ひな形と記載事項)埋葬証明書とは、故人の遺骨が現在の墓地に埋葬されていたことを、その墓地の管理者が証明する書類です。特に決まった形式はなく任意の形式で作成されますが、通常以下の情報が必要となります。死亡者の氏名、本籍、住所、性別、死亡年月日埋葬されていた場所(墓所)など。(参考)埋葬証明書のひな形イメージ(2)永代供養墓等への改葬を検討する場合墓じまいを先に終え、永代供養墓などの改葬先をゆっくり検討したい場合、まずは墓地管理者から「埋葬証明書」を頂いておきましょう。改葬先の墓地が決まった際に、改葬許可申請書の墓地管理者の証明欄に「別紙参照」と記載し、取得済みの埋葬証明書と受け入れ証明書を添付して申請することで、改葬許可証が取得できます。墓地が遠方の場合、後日改めて埋葬証明書をもらいに行くのは時間も費用もかかるため、墓じまいと同時に取得しておくのが賢明です。(3)散骨を検討する場合散骨は法律上「埋葬」に当たらないため、原則として改葬許可証は不要です。しかし、散骨業者によっては、遺骨が誰のものであるかを確認するため、埋葬証明書のコピーの提出を求められる場合があります。また、家族との話し合いで最終的に散骨ではなく永代供養墓への改葬に方針が変わる可能性も考慮し、念のため埋葬証明書を取得しておくことをお勧めします。埋葬証明書があれば、万一の場合も改葬許可申請が可能ですので安心です。(4)埋葬証明書取得の重要性(共通の注意点)いずれのケースにおいても、墓じまいを行った後に再度、埋葬の証明を依頼するために管理者と連絡を取るのは、気まずく感じたり、手間がかかったりすることがあります。そのため、墓じまいを行う前に墓地管理者と十分に話し合い、埋葬証明書を事前に取得しておくことが非常に重要です。3. 改葬先未定の場合の具体的な墓じまい・遺骨管理の流れ改葬先が未定のまま墓じまいを進めたい場合の具体的な流れを解説します。この場合、通常の墓じまいプロセスに加えて、遺骨の一時保管と埋葬証明書の活用がポイントとなります。(1)墓地管理者への事前説明と了承いきなり管理者(ご住職など)に埋葬証明書を求めると驚かれることがあります。墓じまいを先に進めたい理由(例:遠方で頻繁に行けない、改葬先をじっくり検討したい、散骨か永代供養か悩んでいるなど)を丁寧に説明し、事前に了承を得ておきましょう。(2)墓じまいの実施と遺骨の取り出し墓地管理者から了承を得られたら、墓石の撤去を行う石材店を決め、契約します。墓地管理者や石材店と日程調整の上、閉眼供養(魂抜き)やお骨の取り出しを行う墓じまいの日を決定します。閉眼供養を行う場合は、ご住職へのお布施も忘れずに準備しましょう。当日、ご遺骨の移動準備(カバン、ビニール袋、タオルなど)をして寺院や霊園に行き、閉眼供養後に遺骨の取り出しが行われます。(3)自宅での遺骨一時保管または預かり取り出したご遺骨は、新しい改葬先が決まるまで、ご自宅で一時的に保管することができます。(遺骨を自宅に置いておくことは違法ではありませんが、勝手な場所に埋葬することは違法です。)また、遺骨の汚れが気になる場合は、専門業者に依頼して洗浄・乾燥を行うことも可能です。ご自宅以外にも、寺院や霊園が提供する一時保管サービスを利用したり、預骨専門の施設に預けたりする方法もあります。(4)最終的な改葬先決定と手続き改葬先をゆっくり検討し、永代供養墓や新しい墓地への改葬、あるいは散骨など、最終的な供養方法を決定します。永代供養墓等への改葬の場合: 改葬許可証が必ず必要です。管轄の市区町村から申請書を入手し、必要事項を記入。埋葬証明書と改葬先の受入れ証明書を添付して提出し、許可証を取得します。この許可証は、改葬先(新しい墓地など)の管理者に提出します。散骨の場合: 改葬許可証は原則不要ですが、業者によっては埋葬証明書が必要になる場合があります。→ 改葬手続きの詳細については【改葬(お墓の引越し)】相談・手続代行 をご覧ください。4. まとめ:墓じまい後の安心のために墓じまい後、改葬先を急いで決める必要がない場合でも、事前に「埋葬証明書」を取得しておくことの重要性は非常に高いです。散骨の場合、法的に改葬許可証は不要ですが、遺骨の証明書類として埋葬証明書があれば、業者とのやり取りもスムーズに進みます。また、ご自宅で遺骨を一時保管し、時間を空けて改葬する際、自治体によってはご自身が墓地管理者として証明することで許可証が取得できる場合もありますが、多くの場合、元の墓地の管理者からの証明書(埋葬証明書)が求められます。これらのことから、改葬先を決めかねている場合でも、まずは墓じまいと同時に埋葬証明書を必ず取得しておくことを強くお勧めします。これにより、将来どのような供養方法を選択しても、手続きがスムーズに進み、安心して故人の供養を行うことができます。大塚法務行政書士事務所では、お墓に関する手続き全般のサポートを行っております。改葬先が未定の場合の墓じまいや、埋葬証明書の取得に関するご質問など、ご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。お墓じまい・改葬なら お墓専門行政書士に ご相談下さい!!お墓じまい・お墓の引越し(改葬)から、お墓選び・永代供養墓・散骨等のご相談も可能です。お墓専門行政書士が対応致します。経験・実績豊富な事務所です安心してご相談下さい。(AM9:00~PM18:00)無料相談はこちらからTOPページ・お墓の手続き相談・代行のトップページは、こちらからお墓じまい関連TOP・お墓じまい関連のトップページは、こちらから
