「先祖代々のお墓があるけれど、後を継ぐ人がいない。このままだと、お墓が荒れてしまうのではないか?」というご相談を多くいただきます。先祖代々のお墓といっても、ご遺骨が埋葬されていない石碑的なものか、あるいはご遺骨が埋蔵されているかによって、その後の対応は大きく異なります。このページでは、先祖代々のお墓に後継者がいない場合にどうすれば良いか、具体的な解決策を掘り下げて解説します。無縁墓化を防ぎ、安心して供養を続けるための方法を、お墓専門の行政書士がご案内します。1. 先祖代々のお墓に後継者がいない場合の基本先祖代々のお墓の承継者がいない場合、そのお墓が「無縁墓」となってしまう可能性があります。まずは、お墓の状態を確認することから始めましょう。(1)遺骨が埋葬されていない場合(墓石のみ)先祖代々のお墓が、まだご遺骨が埋葬されていない石碑的なものである場合、遺骨の改葬手続きは必要ありません。その墓地を使用していた区画を寺院や霊園に返還することになります。この際、石碑等は撤去し、墓地を更地に戻して返還することが一般的です。石碑等の撤去は通常石材店が行いますので、寺院の紹介や、ご自身で選んだ石材店に依頼することになります。費用は石碑等の石材の量、占有区画面積、作業性によって異なりますので、事前に石材店から見積書を取得し、金額を確認した上で依頼しましょう。※注意点として、当初遺骨が埋葬されていないと思っていたお墓を撤去した後に、墓下から遺骨が出てきたという予期せぬケースもあります。古いお墓の場合、このようなこともありますので、もし遺骨が出てきた場合は、そのまま放置することはできません。新たに永代供養墓などの契約を行い、改葬する必要があります。→ 墓じまいの具体的な手順については【お墓じまいマニュアル】 をご覧ください。→ 墓じまい費用に関する詳細については【墓じまい費用】安く抑える方法と相場をご覧ください。(2)遺骨が埋葬されている場合先祖代々のお墓にご遺骨が埋葬されている場合は、墓じまいと同時に、その遺骨の新しい埋葬先を検討し、改葬(お墓の引越し)を行う必要があります。これには主に以下の3つの方法が考えられます。2. 遺骨が埋葬されている場合の具体的な解決策後継者不在の先祖代々のお墓にご遺骨が埋葬されている場合、以下の方法が主な解決策となります。(1)寺院に永代供養を依頼する現在お墓がある寺院に、ご遺骨の永代供養を依頼する方法です。・内容:今のお墓を墓じまいし、その遺骨を同じ寺院内の永代供養墓(合祀墓など)に移して供養してもらう選択肢です。・注意点:寺院と離檀しつつ永代供養を依頼する場合、寺院によっては永代供養料として高額なお布施(数十万円〜数百万円単位)を求められることがあります。事前に寺院に費用を確認し、納得した上で進めることが重要です。→ 永代供養墓の詳細については【永代供養墓】基礎知識・選び方 をご覧ください。(2)自宅近くの霊園等に改葬する一般的な解決策として、お墓を墓じまいし、ご自宅近くの永代供養墓や納骨堂、樹木葬などに改葬する方法です。・内容:事前に新しい納骨先を見つけて契約を行い、現在の墓地から遺骨を改葬します。永代供養墓には、記念碑塔の下に埋葬する一般的なタイプから、納骨堂、樹木葬など様々な形式が含まれ、後継者が不要な点が特徴です。・改葬手続きの必要性:ご遺骨を他の場所へ移す「改葬」を行うには、墓地所在地を管轄する自治体で改葬許可申請を行い、改葬許可証を発行してもらう必要があります。この許可証は、改葬先の墓地管理者に提出します。→ 改葬手続きの全体像については 【改葬(お墓の引越し)マニュアル】をご覧ください。→改葬費用については【改葬費用】お墓の引越しにかかる費用と相場 をご覧ください。→ 改葬許可申請書の取得方法については【改葬許可申請書】取得・記入方法と必要書類 をご覧ください。→ 永代供養墓の詳細については【永代供養墓】基礎知識・選び方をご覧ください。→ 納骨堂の詳細については【納骨堂とは】選び方・費用・注意点 をご覧ください。→ 樹木葬の詳細については【樹木葬】基礎知識・選び方 をご覧ください。(3)散骨を行う遺骨を粉末状にして海や山などの自然に撒く「散骨」も、お墓を持たない選択肢として考えられます。・内容:散骨には法律で明確に定められた形式はありませんが、現在は業界の自主ルールに則り行われています。お墓に埋葬されていた遺骨を散骨する場合、事前に遺骨の洗浄・乾燥、粉骨(遺骨を粉末状にする)が必要です。これらの費用は散骨費用とは別に請求される場合もありますので、見積書で総額を確認しましょう。・注意点:散骨は一度行うと元には戻せないため、ご家族等とよく話し合った上で決めることが大切です。→ 散骨の詳細については【散骨】相談・手続代行 および【散骨の基礎知識】費用・注意点 をご覧ください。3. 当事務所が過去に行ったお墓の整理事例(参考)当事務所にご相談いただく中で、古いお墓の場合、「遺骨が埋葬されているか不明」「埋葬されていても何体あるか不明」といったケースが多数ございます。お墓にカロート(納骨室)があれば開けて確認できますが、カロートがなく土中に直接埋葬されている場合は、墓石撤去後に掘削して遺骨を探すことになります。どこまで掘削するかは、ご自身の気持ちと管理者との相談になりますが、通常2m程度まで掘削することもあります。このような特殊な状況における、当事務所が過去にご依頼いただいた解決事例をご紹介します。(1)佐賀県での解決事例:現状維持での永代供養へ佐賀県でご依頼いただいた件では、当初ご遺骨数が3体程度とのお話でしたが、実際にはお墓が合計4箇所あり、確認できたご遺骨だけで9体、さらに土葬のご遺骨が12体と判明しました。全てのお墓を撤去すると撤去代だけでも高額になることが予想されましたが、加えて土葬のご遺骨の掘り起しや、状況によっては再火葬が必要となる問題が発生しました。そのため、お客様と寺院とで協議し、現状のまま寺院で永代供養して頂くことで解決いたしました。(2)岐阜県・茨城県での解決事例:遺骨発見からの改葬岐阜県と茨城県からのご依頼では、当初ご遺骨が埋葬されていないとのお話で、墓石の撤去のみを行う予定でした。しかし、墓石撤去時に遺骨が発見されたため、お客様と相談の上、ご遺骨の改葬を行うことになりました。改葬先は永代供養墓をご希望とのことで、永代供許墓選びのサポートも行わせていただきました。当事務所にて、改葬許可申請・許可証の取得から、改葬先へのご納骨立会まで一貫してサポートいたしました。(3)東京都での解決事例:複数のお墓の撤去東京都のお客様からは、先祖代々の墓が35基あり、1つのお墓を残して全て撤去したいというご相談をいただきました。ちらはご遺骨が埋葬されていないとのことで、お墓の撤去のみとなりました。基数が多いため、3社の石材店から見積書を取得したところ、50万円程度〜120万円程度と金額に大きな差が出ました。お客様と相談した結果、一番金額が安い石材店に依頼し、当事務所立会いのもと墓じまいを行いました。4. 承継者がいないお墓を整理する流れ先祖代々のお墓に承継者がいない場合の、一般的な整理の流れをステップ形式でご紹介します。STEP 1: 埋葬されている遺骨の確認お墓に遺骨が埋葬されている場合は、その遺骨を別の場所に改葬することになりますので、最初に確認しておきましょう。古いお墓の場合、お墓を開けてみないと遺骨の有無や数が不明なこともあります。STEP 2: 改葬先・散骨先との契約遺骨が埋葬されている場合は、改葬先の永代供養墓などと契約を行っておきます。散骨を行う場合も業者を選定しておきましょう。STEP 3: 墓石の撤去(墓じまい)ご住職・石材店等との日程を調整し、墓石撤去日を決めます。寺院墓地の場合、通常、閉眼供養後に撤去を行います。ご遺骨がない場合は、ここで完了です。予期しない遺骨が出てきた場合は、改めて改葬許可申請及び改葬先との契約を行います。STEP 4: 改葬または散骨取り出した遺骨を改葬先の永代供養墓に埋葬します。散骨は行う場合は、業者に引き渡し、洗浄・乾燥・粉骨を行った上で散骨が行われます。散骨は業者委託、または、船に同乗して行う方法があります。※先祖代々の墓で承継者がいない場合、基本的には、お墓を撤去することになります。ご遺骨が埋葬されていない場合は、墓石の撤去で完了となります。ご遺骨が埋葬されている・ご遺骨が見つかった場合は、永代供養墓等へ埋葬することになります。4. 先祖代々のお墓を整理する際に考えておくべきこと先祖代々のお墓の整理は、通常の墓じまい以上に考慮すべき点があります。(1)不明な遺骨の取り扱い古いお墓の場合、ご遺骨が埋葬されているか不明な場合や、埋葬されていても何体あるか不明な場合があります。お墓にカロート(納骨室)がある場合は開けて確認できますが、カロートがなく土中に埋葬されている場合は、墓石撤去後に掘削して遺骨を探すことになります。掘削の深さについてはご自身のお気持ちと管理者との相談になりますが、通常2m程度まで掘削することになります。不明な遺骨が出てきた場合の対応方針を事前に決めておきましょう。(2)費用と見積もりの比較撤去するお墓の数が多い場合、石材店の撤去費用に差が出る場合があります。費用を抑えたい場合は、数社の見積書を取得し比較検討することが重要です。数十社と多くの見積もりを取る必要はなく、口コミなどで評判の良さそうな石材店2~3社程度から取得されるのがおすすめです。(3)承継者不在時の「死後」の継続的な供養承継者がいない場合でも、ご自身が亡くなった後、契約に定める期間(例:数十年)はお墓がそのまま維持され、その後撤去する契約を行っている寺院や霊園もあります。ご自身が亡くなった後も、しばらくの間、お墓をそのまま維持したいという場合は、その様な契約を行うことも一つの方法です。→ 詳細については【独身者のお墓問題】独り身の供養方法と選択肢 をご覧ください6. まとめ:先祖代々のお墓の未来を後悔しないために先祖代々のお墓に承継者がいない場合、その整理は非常にデリケートで複雑な問題です。遺骨の有無によって対応が異なり、墓じまいや改葬、永代供養、散骨といった様々な選択肢の中から、ご家族の状況や故人の意向に沿った最適な方法を見つける必要があります。ご自身で全ての手続きを行うには、多くの時間と労力、そして専門知識が必要です。特に、古いお墓の状況確認や、寺院との調整、行政手続きなど、初めての経験となることがほとんどでしょう。大塚法務行政書士事務所では、このような複雑な先祖代々のお墓の整理に関する手続きを専門とし、お客様の状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。現地立会から見積書の取得サポート、改葬先選びのアドバイスまで、お客様の必要な部分を経験豊富な行政書士がサポートいたします。ご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。お墓のことは、お墓専門行政書士に ご相談下さい!!お墓じまい・お墓の引越し(改葬)から、お墓選び・永代供養墓・散骨等のご相談も可能です。お墓専門行政書士が対応致します。経験・実績豊富な事務所です安心してご相談下さい。(AM9:00~PM18:00)無料相談はこちらからTOPページ・お墓の手続き相談・代行のトップページは、こちらからお墓の困りごと関連TOP・お墓の困りごと関連のトップページは、こちらから
