「複数の寺院を一つにまとめたい」「合併を検討しているが、手続きが複雑そうで不安だ…」そうお考えではありませんか? 宗教法人の合併は、寺院の存続や後継者問題の解決策の一つとして注目されています。この記事では、宗教法人合併の「吸収合併」と「新設合併」の2つの種類と、それぞれの手続きの流れ、必要となる書類、そして合併を成功させるための注意点について、専門家が分かりやすく解説します。1. 宗教法人の合併とは?2つの種類を解説(1)吸収合併と新設合併の違い宗教法人の合併とは、2つ以上の宗教法人が1つの宗教法人になることを言います。合併の種類として、吸収合併と新設合併の2種類があります。吸収合併とは、1つの宗教法人が存続し、他の宗教法人が解散・消滅する形式です。新設合併とは、双方の宗教法人が解散・消滅し、新たに宗教法人を設立する形式です。(2)合併のメリット(清算手続きの不要など)通常、宗教法人の解散には、清算人による清算手続き(残余財産の処分等)が必要となりますが、合併により解散した宗教法人の財産は、合併後に存続する宗教法人(吸収合併)または、新たに設立される宗教法人(新設合併)が、その権利義務を承継することになるため、清算手続きは不要となります。2. 合併(認証)手続きの全体的な流れここでは、合併手続きの流れについて解説いたします。最初に合併する宗教法人同士で協議を行います。合併の理由や合併後の宗教活動に関すること、財産に関すること、信者等への対応等について良く話し合いを行います。その結果、双方が合併について同意した場合は、信者への事前説明、職員との協議等を行った上で、下記の手順により合併を進めて行くことになります。(1)規則で定める議決・同意寺院規則等で定める手続により下記の議決又は同意が必要になります(宗38条1項1号)。責任役員会の議決。他機関(信者総会等)の議決又は同意が必要な場合は、その議決又は同意。※規則に別段の定めがない場合は、責任役員定数の過半数の議決(宗19条)となります。(2)合併契約案の作成契約案には、吸収合併、新設合併のいずれの形式によるものか、存続する宗教法人(吸収合併)等について定める事になります。記載例合併する宗教法人・合併後の宗教法人の名称・所在地合併の効力発生日財産承継に関する事項信者・職員に関する事項等下記に該当する場合、その手続き等も必要になります。吸収合併により規則変更を行う場合は、その手続。(例:責任役員会の議決、他機関の議決又は同意等)→ 規則変更の手続きについては【宗教法人の規則変更】手順・手続きを解説 もご参照ください。新設合併の場合は、新規則案の作成合併により被包括関係の設定・廃止を行う場合は、その手続。(宗35条・36条)(3)合併契約案の承認契約案を作成したら、規則に定める手続により合併契約案の承認決議を行う必要があります。(責任役員会の決議、総代会の決議等)。※規則に別段の定めがない場合は、責任役員定数の過半数の議決(宗19条)となります。(4)合併契約案(要旨)の公告信者・その他利害関係人に対して合併契約案(要旨)を示して公告を行う必要があります。(宗34条)。尚、公告の方法については、宗教法人設立時に規則で定める必要がありますので、貴寺院等の規則をご確認下さい。(一般的には、機関紙、事務所の掲示板等への貼付け等になります。)。(5)財産目録の作成・債権者に対する公告(催告)① 財産目録の作成上記、合併契約案の公告を行った日から2週間以内に財産目録を作成する必要があります。又、公営事業、その他の事業を行っている場合は、その事業に関わる貸借対照表も作成する必要があります。(宗34条2項)② 債権者に対する公告(催告)債権者に対し、合併契約案(要旨)の公告を行った日から2ヶ月を下らない期間内に、合併に異議がある場合は、その旨申し出る様、公告を行います。又、知れている債権者に対しては、各別に催告を行います。(宗34条3項)(6)合併契約の締結・認証申請上記手続の完了後、合併契約の締結を行い、所轄庁の認証を受ける必要があります。(宗33条)所轄庁内の流れ(参考)①添付書類の有無等の調査→②受理通知→③審査→④認証→⑤認証書及びその謄本の交付(7)合併の登記認証書の交付を受けた日から2週間以内に、主たる事務所の所在地において下記の登記を行う必要があります。(宗56条)吸収合併の場合=変更の登記新設合併の場合=設立の登記合併により解散する宗教法人=解散の登記※合併の効力は、変更・設立の登記をすることにより発生します。又、登記後、所轄庁への合併届、解散届の提出も必要になります。3.合併認証申請に必要な書類(参考例)申請する所轄庁により違いがありますが、どの様な書類等が必要になるのか?参考に掲載させて頂きます。※詳細につきましては、管轄の所轄庁にご確認下さい。(1)吸収合併申請に必要な書類吸収合併に伴う認証申請には下記の書類等が必要になります。1)認証申請書2)規則に定める責任役員会、その他機関の決議等①責任役員会議事録、②責任役員就任受諾書、③その他の機関の同意書、④包括団体の承認書等、⑤印鑑証明書等3)公告関連①合併公告証明書、②合併公告文(写)、③合併公告の写真4)財産関連財産目録、財産目録作成の証明書、貸借対照表(事業がある場合)ⅰ)債権者へ異議申出を催す公告公告文(写)、公告証明書、公告文(写)、公告の写真、催告証明書、催告書(写)、異議ある債権者へ対応したことの証明書5)合併後の法人に規則変更がある場合①変更しようとする事項を示す書類、②責任役員会議事録(写)、③その他の機関の同意書、④包括団体の承認書6)合併理由書7)合併契約書(写)吸収合併の場合、変更の登記、解散の登記を行い所轄庁への届出も必要になります。(2)新設合併申請に必要な書類申請合併に伴う認証申請を行うには下記の書類等が必要になります。1)認証申請書2)規則に定める責任役員会、その他機関の決議等①責任役員会議事録、②責任役員就任受諾書、③その他の機関の同意書、④包括団体の承認書等、⑤印鑑証明書等3)公告関連①合併公告証明書、②合併公告文(写)、③合併公告の写真4)財産関連①財産目録、②財産目録作成の証明書、③貸借対照表(事業がある場合)ⅰ)債権者へ異議申出を催す公告①公告文(写)、②公告証明書、③公告の写真、④催告証明書、⑤催告書(写)、⑥異議ある債権者へ対応したことの証明書5)新設宗教法人関連①選任証明書、②規則案作成証明書、③包括団体承認書、④新団体の宗教団体証明書、⑤信者、利害関係人への新法人設立の公告、⑥公告証明書、⑦公告文(写)規則案添付、⑧公告の写真6)被包括関係設定又は廃止関連①公告文(写)、②公告証明書、③公告の写真、④被包括関係廃止の通知(案)7)新役員就任受諾書、新役員身分証明書・誓約書8)合併理由書9)合併契約書(写)新設合併の場合、設立の登記、解散の登記を行い所轄庁への届出も必要になります。4.合併に関する注意事項合併を行う場合には、包括宗教法人で定める規則等を確認しておく必要があります。また、双方が事前に良く話し合いを行い、双方が納得出来る形で合併を行う事が大切です。合併契約書の作成についても慎重に定める必要があります。信者、利害関係人等の関係者においても、合併する理由(必要性)等について、よく説明し理解を得ておく事が大切です。上記、理解等が得られた際には、宗教法人法で定める事項及び貴寺院等で定める規則を確認し、1つずつ無理のない形で進めて行きましょう。又、宗教法人合併には所轄庁の認証が必要になりますので、合併の実現性をおびた段階で、早めに所轄庁との打合せを行い認証申請に必要な書類等を確認しておきましょう。→ 当事務所は、宗教法人様の合併に関するサポートを行っております。宗教法人法務(運営・管理)サポート の一環としてご提供しております。5.まとめ宗教法人合併についての流れ、必要な書類等についてまとめさせて頂きました。宗教法人の合併につきましては、新設合併と比べ手続が少ない吸収合併を行う寺院様等が多いかと思いますが、吸収合併においても宗教法人法で定める手続を行う必要がある為、時間が掛かる場合があります。提出する書類も多岐に渡りますので、これらをスムーズに行うには、所轄庁との事前打合せ等、必要な手続・書類等について一通り確認された上で進める方が良いかと思います。当事務所は、宗教法人様の合併に関するサポートを行っております。もし、ご不明点等がありましたら、お気軽にご相談下さい。まずは、お問合せから始めて下さい。「こんなこと頼めるの?」・「こういう場合どうすれば?」・「将来的に、この様にしたい。」etc..。お話をお聞きした上で、サポート出来る範囲等の説明させて頂きます。もし、興味をお持ち頂けたら、私、大塚が貴寺院までお伺いさせて頂きます。ご相談だけでも問題ありません。一度お会いする事により、今後も安心してご相談頂けると思います。・私は、出会いはご縁だと思っております。その出会いを大切にしたいと考えております。※当事務所から貴寺院にお伺いする場合は、交通費のみご請求させて頂きます。※遠隔地の場合は宿泊費をご請求させて頂く場合があります。※相談料は無料です。宗教法人手続・書類作成なら、お墓専門行政書士に ご相談下さい!!宗教法人に関する手続、宗教法人関連の書類作成ならご相談下さい。お墓専門行政書士が対応致します。(AM9:00~PM18:00)無料相談はこちらから宗教法人の法務(運営・管理)・寺院・霊園様の法務サポートは、こちらから無縁改葬サポート・無縁墓の改葬サポートは、こちらから
